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上塗り
「上塗り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上塗りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
とうは、は、あてになりませんからね。ほんとうは、というそんな言葉でまたひとつ嘘の
上塗りをしているようで。」 「や、これは痛い。そうぽんぽん事実を突きたがるものじ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
ものです。藤崎さんも今となっては後悔のほかはありません。万一これが露顕しては恥の
上塗りであるから、いっそ今のうちに切腹しようかとも思ったのですが、先ず兎もかくも....
「嵐」より 著者:島崎藤村
てくれるのがいちばん都合がいい、それより早過ぎてもおそ過ぎてもいけない、まだ壁の
上塗りもすっかりできていないし、月の末になるとまた農家はいそがしくなるからとして....
「佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」より 著者:高村光雲
もの……しかし、立派な大仏の形が悠然と空中へ浮いているところは甚だ雄大……これが
上塗りが出来たら更に見直すであろうと、一層仕事を急いで、どうやら下地は出来ました....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
地と泥地とあって、堅地は砥粉地と桐粉地とあり、いずれも研いで下地を仕上げるもの。
上塗りは何度も塗って研磨して仕上げるものです。泥地は胡粉と膠で下地を仕上げ、漆で....
「骸骨館」より 著者:海野十三
るのだった。 それにこの荒れはてた工場については、数箇月前のことであるが、恥の
上塗りのようなかんばしくない事件がおこった。それはこの工場に隠匿物資があるはずだ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
。 先ず先生がおおよその着想と構図とを与え、下塗り中塗りは大勢の弟子にまかせ、
上塗りでさえも大勢の弟子たちがやる事は普通の事とさえされていた事さえあるらしいの....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
「君が、大の字なりに寝転んで、たんかを切ったところなんか、まるで円の上を三角で
上塗りしたようなものだったね。それじゃ、せっかくの円も台なしだよ。」 「すみませ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
いんだ。実際、ひと思いに自決するぐらいのことは、なんでもない。しかし、それも恥の
上塗りだと思うと、つい、心が臆して、今日まで断行できなかつた。いや、お前にも、い....
「名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
昧宿に、臨検におびえながら出入りする白い首が闇にうごめくだけではたゞもう淋しさの
上塗りをするだけである。 スケツチでなくて何だか懐旧談のやうになつてしまつた。....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
もの……しかし、立派な大仏の形が悠然と空中へ浮いているところは甚だ雄大……これが
上塗りが出来たらさらに見直すであろうと、一層仕事を急いで、どうやら下地は出来まし....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
天井裏には煤埃りが真黒く下って、柱も梁も敷板も、鉄かとも思われるほど煤けている。
上塗りのしてない粗壁は割れたり落ちたりして、外の明りが自由に通っている。 「狐か....
「城」より 著者:カフカフランツ
家も石でつくられているということによってきわだって見えるだけだった。だが、家々の
上塗りもずっと前にはげ落ち、石はぼろぼろとくずれ落ちそうに見えた。Kはふと、自分....
「審判」より 著者:カフカフランツ
小さな天窓によってほかの階段とはちがって比較的明るく照らし出されているこの扉は、
上塗りのしてない角材で組み上げられ、その上にはティトレリという名前が赤い色で肉太....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
かもあとでペンキ屋がごていねいにも、私の字のままに塗ったものだから、文字通り恥の
上塗りである。だから私の珍妙な字はかなり長い間、そこにさらし物になっていた。 ....