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上滑り
「上滑り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上滑りの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
一部を実現するのである。人格にない事を、ただ句を綴《つづ》り章を繋《つな》いで、
上滑りのするようにかきこなしたって、閑人に過ぎません。俗にこれを柄《がら》にない....
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
が悪いからお止《よ》しなさいと云うのではない。事実やむをえない、涙を呑《の》んで
上滑りに滑って行かなければならないと云うのです。 それでは子供が背《せな》に負....
「火星の魔術師」より 著者:蘭郁二郎
いったような感じの部屋だった。尤もそれはほんの最初だけの感じであって、すぐそんな
上滑りの気持は棄てなければならなかったけれど……。 志賀健吉と名乗るその男は、....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
のずから滴一滴という工合であり、疾風的テムポがよしんば生じたにしろ、それは決して
上滑りをしたものではありません。私たちの生活の精髄は、歴史の切り口の尖端にのぞん....
「野に声なし」より 著者:豊島与志雄
りで出来上ってる作品は、外見は如何に巧みであり力強くあろうとも、実質は無味乾燥で
上滑りがしていて、生命の気が籠っていない。 レアリスムの作品を生み出すのはレア....
「椿の花の赤」より 著者:豊島与志雄
とも、校正はあまり上手な方ではありませんし、熱心にやってるようでいて、実は仕事が
上滑りしてるという感じもありました。それからまた、忙しい仕事が一段落ついた後、社....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
くのを喜んだ。 「本田も、このごろ、いくらかすべりがよくなったようだね。しかし、
上滑りは禁物だ。」 朝倉先生は、白鳥会の集まりの時に、一度そんな事を彼に言った....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
一番欠けているのは、或は、閑却されているのは、なによりも「流露感」だと思います。
上滑りをしてもいいというのではない。いい言葉がなかなか見つからないのだが、つまり....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
った石の綿がはみ出していた。足が自ずと其方に向いて乱石の階段にかかる、登り詰ると
上滑りのする黒土の斜面に出た、つい昨日あたりまで此斜面には雪が残っていたらしい、....
「それから」より 著者:夏目漱石
を有《も》っていなかった結果として、如何なる職業を想い浮べてみても、ただその上を
上滑りに滑って行くだけで、中に踏み込んで内部から考える事は到底出来なかった。彼に....