上簇[語句情報] » 上簇

「上簇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上簇の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
指と指環」より 著者:佐左木俊郎
はいたが、整った線で細長い感じだった。そして、鈍白《にぶじろ》く半透明の、例えば上簇《じょうぞく》に近い蚕《かいこ》を思わせた。爪もまた桜色の真珠を延べたような....
田舎教師」より 著者:田山花袋
小僧が一枚々々拭いていると、和尚さんはそばで桑切り庖丁で丹念に細く刻む。 蚕の上簇りかけるころになると、町はにわかに活気を帯びてくる。平生は火の消えたように静....
二つの庭」より 著者:宮本百合子
しい顔色に、重いかげがさしよって来た。のり子のふっくりしたまぶたや顎のところが、上簇《じょうぞく》まえの蚕の肌のような鈍い透明な色になった。伸子にのり子のせつな....
自画像」より 著者:寺田寅彦
そう言われて後に鏡と絵と比べてみると画像のほうはたしかに色が薄くて透明に見えて、上簇期の蚕のような肌をしていた。そしていかにもぞんざいで薄っぺらなものに思われて....
大阪を歩く」より 著者:直木三十五
考えた。そして、ここ一年余りの間に、桑でなくともちさである程度養えること、冬でも上簇《じょうぞく》できること、煮ないでも糸がとれることを、死物狂いで、試験的に成....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
嫩葉を摘みながら歌を唄っていて、今しも一人が、 わたしぁ桑摘む主ぁ※まんせ、春蚕上簇れば二人着る。 と唱い終ると、また他の一人が声張り上げて、 桑を摘め摘め、爪....
山の人生」より 著者:柳田国男
話があったように思うが、或いは誤っているかも知れぬ。多くの地方では旧暦四月、蚕の上簇や麦苅入れの支度に、農夫が気を取られている時分が、一番あぶないように考えられ....