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上総
「上総〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上総の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
。それは又お鈴が恐れていたお芳の兄も同じことだった。お芳は千円の手切れ金を貰い、
上総《かずさ》の或海岸にある両親の家へ帰った上、月々文太郎の養育料として若干の金....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
眺めていた。海はどこを見てもまっ暗だった。僕は彼是《かれこれ》十年|前《ぜん》、
上総《かずさ》の或海岸に滞在していたことを思い出した。同時に又そこに一しょにいた....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
して歩いて行った。気候は海へはいるには涼し過ぎるのに違いなかった。けれども僕等は
上総《かずさ》の海に、――と言うよりもむしろ暮れかかった夏に未練《みれん》を持っ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
、女親なる人がとても駄目だからと言い切って、話はいよいよ離別と決定してしまった。
上総は春が早い。人の見る所にも見ない所にも梅は盛りである。菜の花も咲きかけ、麦の....
「春昼」より 著者:泉鏡花
うになりました。 妙なもので、かえって遠国の衆の、参詣が多うございます。近くは
上総下総、遠い処は九州|西国あたりから、聞伝えて巡礼なさるのがあります処、この方....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、そして姫のお祠は、その村の小高い崖の半腹に建って居り、石段の上からは海を越えて
上総房州が一と目に見渡されたように覚えて居ります。 そうそういつか私がお詣りし....
「西瓜」より 著者:岡本綺堂
本所の御米蔵のそばに小屋敷を持っている稲城八太郎の奉公人で、その名を伊平といい、
上総の八幡在から三月前に出て来た者であった。したがって、江戸の勝手も方角もまだよ....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
がついて、それは花川戸の八百留という八百屋の子であることが判った。 八百留には
上総生れのお長ということし十三の子守女が奉公していて、その前日の午すぎに、いつも....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
なった。かれは夏のみじか夜の明けるを待ちかねて、養家のうなぎ屋を無断で出奔した。
上総に身寄りの者があるので、吉次郎はまずそこへたどり着いて、当分は忍んでいる事に....
「穴」より 著者:岡本綺堂
ひと月ほども前に、その奥さんがふらりと尋ねておいでになりまして、なんでも今までは
上総の方とかにおいでになったというお話でした。そうして、わたしの家には誰が住んで....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
の知識は却ってお鉄の方が委しかった。 「捕縄の掛け方なら、私に及ぶ者は常陸下総|
上総にも有りますまい」 お鉄の自慢はそれだけの実力が有り余っていた。女ながらも....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
れて、あの松林よりも澪の棒杭の方が高く見えますな。おや川尻は、さすがに浪が荒い、
上総の山の頂きを見せつ隠しつは妙々。姐さん、木更津はどっちの見当かね」と宗匠は相....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
沢へ避暑の真似をして、旅宿の払にまごついたというのではない。後世こそ大事なれと、
上総から六部に出たたる石径を舞上って、「あれあれ浅間山の煙の中へ火の尾を曳いて消....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
屋の祖先について語ろう。 淡島氏の祖の服部喜兵衛は今の寒月から四代前で、本とは
上総の長生郡の三ヶ|谷(今の鶴枝村)の農家の子であった。次男に生れて新家を立てた....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
父の話を思い出した。叔父は「御維新」以前には新刀無念流の剣客だった。(叔父が安房
上総へ武者修行に出かけ、二刀流の剣客と試合をした話も矢張り僕を喜ばせたものである....