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「上被〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

上被の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
へどうぞ……何しろ汚いんでございますよ。」 と、雨もりのような形が動くと、紺の上被を着た婦になって、ガチリと釣ランプを捻って離して、框から直ぐの階子段。 小....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
の月百姿の中の、安達ヶ原、縦絵|二枚続の孤家で、店さきには遠慮をする筈、別の絵を上被りに伏せ込んで、窓の柱に掛けてあったのが、暴風雨で帯を引裂いたようにめくれた....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
の古風な顔。満更《まんざら》の容色《きりょう》ではないが、紺の筒袖《つつそで》の上被衣《うわっぱり》を、浅葱《あさぎ》の紐で胸高《むなだか》にちょっと留《と》め....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
ふかし芋とこの店に並べてあった――村はずれの軒を道へ出て、そそけ髪で、紺の筒袖を上被にした古女房が立って、小さな笊に、真黄色な蕈を装ったのを、こう覗いている。と....
獄中消息」より 著者:大杉栄
をしよう。社会主義者が人類を別けて紳士閥と平民との二になすがごとく、監獄では待遇上被告人を二つの階級に別けてある。しこうしてその一は雑房に住み、他の一は独房に住....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
り答えた。 新吉は部屋へ帰ると畳込みになって昼はソファの代りをする隅のベッドの上被いのアラビヤ模様の中へ仰向けにごろりと寝た。ベッシェール夫人のところで火をつ....
」より 著者:岡本かの子
方四十前後位。屈強な男子達で、狂暴な男性狂者の監禁室の看守ででもあるらしい。白い上被も着た人相骨格の嶮岨に見える者ばかりだ。無制限な狂暴患者に対する不断の用心や....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
念が別の所から出発するから分ける方が正しい。 仮装は、ただ糸かがりをし、簡単な上被で之を覆い、綴じ放しの截ち切らず、即ちアンカットが常道である。時にしゃれて、....
次郎物語」より 著者:下村湖人
忍ばせて春子を驚かしたりすることもあった。 調剤の時には、春子はいつも真っ白な上被をかけ、うぶ毛のはえた柔かな腕を、あらわに出していた。次郎にはその姿が非常に....
白い道」より 著者:徳永直
た三尺縁で、長野と深水が焼酎をのんでいた。長野は、赤い組長マークのついた菜葉服の上被を、そばの朝顔のからんだ垣にひっかけて、靴ばきのままだが、この家の主人である....
風俗時評」より 著者:豊島与志雄
常に多少使用されてることは、或る点までの成功と見てよい。之に反して、国防婦人会の上被と襷とは、失敗と云って差支えない。防空演習の女のモンペイも、考慮すべき点が多....
リラの手紙」より 著者:豊田三郎
をうかがっては彼の傍に現われて話しかけ、襟の屑を払ったり、しまいには夜具の汚れた上被を解いて洗い、毎日、新らしい花を生けた。久能は一向気づかない風だったが、ある....
紫式部」より 著者:長谷川時雨
ことかその一冊だけが、おさない手ずさびの記念のように、榛原《はいばら》の千代紙で上被いがしてあるのであった。白い地に柳やら桜やらの細《こま》かい細かい模様であっ....
五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」より 著者:宮本百合子
え間なくその前にたかり、或る者は手帳を出して書名をひかえている。或る者は直ぐ黒い上被りを着た店員に別の棚からその本を出して貰い、金を払っている。 成程これは、....
今日の日本の文化問題」より 著者:宮本百合子
陳述を見ると、被告の殆ど全部が侵略戦争に対する人道上の責任を自覚していない。その上被告のための日本側弁護人法学博士清瀬一郎は被告たちの無良心を彼の厚かましい弁舌....