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上質
「上質〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
上質の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ろまん灯籠」より 著者:太宰治
売れなくて、よかったとさえ思っている。愛着は感じていても、その作品集の内容を、最
上質のものとは思っていないからである。冷厳の鑑賞には、とても堪えられる代物《しろ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
叩いても決して本音を吐かぬような、しゃくれた強情な顔をしていた。 どっちとも、
上質の洋服地の制服を着、靴を光らして、身だしなみはよかった。いい家の子に違いない....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
、丸い顔の半へかけて、人をたばかって、人は寧ろそのたばかられることを歓ぶような、
上質の蠱惑の影が控目にさし覗いている。澄していても何となく微笑の俤があるのは、豊....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
鎮子は微かな驚異の色を泛べたが、別に顔色も変えず、懐中から二枚に折った巻紙|形の
上質紙を取り出した。
「御覧下さいまし。算哲博士のお描きになったこれが、黒死館の....
「帰去来」より 著者:太宰治
日目の、その祝賀会の朝、私の注文の品が全部、或る呉服屋からとどけられた。すべて、
上質のものであった。今後あのように
上質な着物を着る事は私には永久に無いであろう。....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
最良質の田圃は片端から掘荒されて行った。質のいい米を結ぶ田圃の底からでなければ最
上質の煉瓦は出来ないからだった。併し、耕地が減って行くのに、其処から投げ出された....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
の一つ一つに掛けられた。帆村の記憶にはっきり残ったのは、袋入りの秘戯画と、沢山の
上質のみす紙とであった。 「おい帆村君。これを見なくてもいいのかね」 長谷戸検....
「怪塔王」より 著者:海野十三
も、むりではありませんでした。帆村のひろったそのぐにゃりとしたものは、やわらかい
上質のゴムでつくったマスクでありました。怪塔王が、よく使っているマスクだったので....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
それには、私と同務であった、東条氏が自ら好んで任ぜられた。そうして、その代りに村
上質氏が入って来た。この人はなかなか才物で軍政上や武蔵氏の応接等も巧くやっていた....
「推理小説論」より 著者:坂口安吾
る。 推理小説というものは推理をたのしむ小説で、芸術などと無縁である方がむしろ
上質品だ。これは高級娯楽の一つで、パズルを解くゲームであり、作者と読者の智恵くら....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
る現実が起きるまでは、誰一人異見を立てなかったのである。 日を重ねるに従って、
上質で大粒の真珠がその数を増していた。こんな光沢の良い大粒のものが一ツでも自分に....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
束物は貴金属の小さな鈴のように鳴り響いた。そして、それの鳴り響く音や、絹や金襴や
上質の亜麻のさらさら擦れる音などのために、そこの空気の中には、サン・タントワヌと....
「水と骨」より 著者:佐藤垢石
は水温が低いので、上等の食味を持っているのである。これらの川の岩質が、鮎の好きな
上質の水垢を発生させるのに、適しているからであろう。 越後の海へ注ぐ阿賀の川の....
「兄妹」より 著者:岡本かの子
――二十余年前の春 兄は第一高等学校の制帽をかぶっていた。
上質の久留米絣の羽織と着物がきちんと揃っていた。妹は紫矢絣の着物に、藤紫の被布を....
「洗いづくりの世界」より 著者:北大路魯山人
関西へ行くと、さすがご自慢だけのものがあるようである。が、そのかわり、手長えびの
上質なものなぞとなると、これは東京だ。手長えびの洗いのつくりは上品なものである。....