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下げ髪
「下げ髪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下げ髪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
貞世のほうに近づいた。面《おも》ざしの葉子によく似た十三の少女は、汗じみた顔には
下げ髪がねばり付いて、頬《ほお》は熱でもあるように上気している。それを見ると葉子....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ぶんに情けの深さを示す漆黒のぬれ羽色をしていながら、中ほどをぷっつりと切った切り
下げ髪で、だからまゆは青々とそって落として、口をあけてはいないからわからないが、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るそうだ。冷泉為清卿の息女で、左衛門局だとか名乗って、白の小袖に緋の袴をはいて、
下げ髪にむらさき縮緬の鉢巻のようなものをして、ひどく物々しく構えているが、前にも....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
一人の尼が轆轤車に乗せられ、こっちへ曳かれて来るのである。年の頃は二十一二、切り
下げ髪に墨染めの法衣、千切れた金襴の袈裟を掛け、手に水晶の数珠を握り、足には何ん....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
あまりの、一見するに内藤家老職のご後室さまといったようなみだしなみも好もしい切り
下げ髪のお上品なご隠居さまでしたから、その慧眼の鋭さには、何度舌を巻いても巻きき....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
をした眼であった。血色もよく皺もない。が老女には相違なかった。肩を蔽うている切り
下げ髪が、白金のように白くもあれば、眉毛さえも白金のように白いのだから。 ....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
令官とが、こえのする方へふりかえったとき、そこには九つか十ぐらいの、かわいらしい
下げ髪の女の子が立っていた。 「なんだ。誰かと思えば、トマト姫か」 トマト姫は....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
が歩みを忘れてしまったような、遅い午後―― 講堂の硝子窓のなかに、少女のまるい
下げ髪頭が、ときどきあっちへ動き、こっちへ動きするのが見えた。 教員室から、若....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、翌々日の晩は、唯今のお珊の方が、千日前から道頓堀、新地をかけて宝市の練に出て、
下げ髪、緋の袴という扮装で、八年ぶりで練りますから。」 一言、
下げ髪、緋の袴、....
「祇園の枝垂桜」より 著者:九鬼周造
ある。下駄、草履、靴、素足、紺|足袋、白足袋が音頭に合せて足拍子を揃えている。お
下げ髪もあれば束髪もある。私が振返ってすっかり青葉になってしまった桜を眺めている....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
熊、荒熊の如き武者修業の背後から、何の躊躇もなく鎌の刃を引掛けたが、尊き女※の切
下げ髪、紫の打紐にキリキリと巻いたるにさえ、焚籠めてある蘭麝待の名香。ついそれを....
「美音会」より 著者:佐藤垢石
も立ったり座ったりしている中に、先刻神路山を舞った原杉多喜子のベールを頚に巻いて
下げ髪にした無邪気な姿が人々の注目を惹いた。梓弓の正時を舞った森八重子は可愛らし....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
もう奥庭で、階段のついた高縁の、そこが書院で、向った襖がするすると左右へ開くと、
下げ髪にして裲襠を捌いた、年三十ばかりの奥方らしいのに、腰元大勢、ずらりとついて....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
脚本は在来の「和田合戦女舞鶴」をそのままであったが、かの門破りの場に出る板額は、
下げ髪にうしろ鉢巻、直垂に小手脛当をつけて毛沓を穿いているという活歴式のこしらえ....
「城」より 著者:カフカフランツ
いで、アマーリアのことも軽蔑しています。アマーリアがちょっとにらみさえすれば、お
下げ髪をしてリボンをつけているあのちっぽけなペーピーなんか、すぐ部屋から追い出し....