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「下す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
閃《ひらめ》いた一策があります。「まりや」様! 「まりや」様! この一策を御教え
下すったのは、あなたの御恵みに違いありません。ただわたしの体を捨てる、吐血《とけ....
「影」より 著者:芥川竜之介
ろ》に大きな体を起して、帳場机の前へ歩み寄った。
「陳さん。いつ私に指環を買って
下すって?」
女はこう云う間にも、依然として鉛筆を動かしている。
「その指環が....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
実際そう云う事実が、持ち主にあったと云うのです。」
田代君は椅子《いす》に腰を
下すと、ほとんど物思わしげなとも形容すべき、陰鬱な眼つきになりながら、私にも卓子....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
が、Bさんらしい姿は容易に僕には見つからなかった。のみならず舷梯《げんてい》を上
下するのは老若の支那人ばかりだった。彼等は互に押し合いへし合い、口々に何か騒いで....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
三人の顔を見廻すと、
「戸沢《とざわ》さんとか云う、――かかりつけの医者は御呼び
下すったでしょうな。」と云った。
「ただ今電話をかけさせました。――すぐに上《あ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
列車の中は身動きも出来ないほどこんでいる。ボオイが心配してくれたので、やっと腰を
下す空地《くうち》が見つかったが、それではどうも眠れそうもない。そうかと云って寝....
「白」より 著者:芥川竜之介
決心しました。ただ自殺をするにつけても、ただ一目《ひとめ》会いたいのは可愛がって
下すった御主人です。勿論お嬢さんや坊ちゃんはあしたにもわたしの姿を見ると、きっと....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ら、しばらくその勾玉を弄《もてあそ》んでいたが、自分もその楡の根がたへ楽々と腰を
下すと、
「どうだろう。物は相談と云うが、一つ君の計らいで、この玉を僕に売ってく....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
からか》うように声をかけますと、お敏は急に顔を赤らめて、「まあ私、折角いらしって
下すった御礼も申し上げないで――ほんとうによく御出で下さいました。」と、それでも....
「或る女」より 著者:有島武郎
かれた「中将湯《ちゅうじょうとう》」という文字を、何《なに》げなしに一字ずつ読み
下すと、彼女は突然私生児の定子の事を思い出した。そしてその父なる木部の姿は、かか....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ばきと艫綱を投げると、それがすぐ幾十人もの男女の手で引っぱられる。船はしきりと上
下する舳に波のしぶきを食いながら、どんどん砂浜に近寄って、やがて疲れ切った魚のよ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
くと立ち上って、むっとする様な暑さを覚えしめる。労働を強うる為めに、鉄と蒸気とが
下す命令である。私は此の叫びを聞いて起き上ろうとすると、 待て。 とヤコフ・イリ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
見えまして、今度いよいよ時節が来たとなりますと、御自身で私を案内して、連れて来て
下すったのでございます。――姫さま、お願いでございます、これからは、どうぞお側に....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
以なり。久保田君、幸いに首肯するや否や? もし又首肯せざらん乎、――君の一たび抛
下すれば、槓でも棒でも動かざるは既に僕の知る所なり。僕亦何すれぞ首肯を強いんや。....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
しとせば、唯児島喜久雄君あるのみ。僕は現在恒藤と会うも、滅多に議論を上下せず。上
下すれば負ける事をちゃんと心得ている故なり。されど一高にいた時分は、飯を食うにも....