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「下り坂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

下り坂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
の同情なり尊敬なりが加えられる結果とならなかったばかりでなく、その勢力はますます下り坂になって、葉子はいつのまにか田川夫人と対等で物をいい合っても少しも不思議と....
或る女」より 著者:有島武郎
れか教えてくれる人があったら、わたしはその瞬間に喜んで死ぬ。こんな幸福を見てから下り坂にまで生きているのはいやだ。それにしてもこんな幸福でさえがいつかは下り坂に....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
しろ、お前たちの助けなければならないものは私ではない。お前たちの若々しい力は既に下り坂に向おうとする私などに煩《わずら》わされていてはならない。斃れた親を喰《く....
蠅男」より 著者:海野十三
あの山の端を曲ったところで、蠅男はヒラリと飛び下りて叢に身をひそめたんだ。あとは下り坂の道だ。自動車はゴロゴロとひとりで下っていったのだ。ああそこへ考えがつかな....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
の若芽の叢が、垂れた房々を擡げてほのかに揮発性の匂いを発散する。山中の小さい峠の下り坂のようになって来た小径は、赤土に湿りを帯びていて、かの女の履きものの踵を、....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
しいは、いっしょにそのトラックに乗って行ってみようと思った。 その日は、天気が下り坂になって来て風さえ出て来たので、農夫たちは急いで枯草《かれくさ》を車へのせ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、鼻の下の伸びた顔でいる。……いや、愚に返った事は――もし踊があれなりに続いて、下り坂を発奮むと、町の真中へ舞出して、漁師町の棟を飛んで、海へころげて落ちたろう....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
指導員らしいのが叫んだ。 仏天青も、人々のうしろから、柵の中にはいった。狭い下り坂を、ついていくと、やがて、電灯のついただだっ広い部屋が見えた。ぷーんと饐え....
火星兵団」より 著者:海野十三
ていた警官たちは、号令一下、すぐさま起上って、またオートバイにうち乗った。今度は下り坂で、車がすべろうとするのを、一生けんめいにブレーキをかけながら、隊伍堂々と....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
山道を走った。 あっ、あそこにいる。正太が目ざとく、怪少年と妹の姿を見つけた。下り坂のところを、怪少年がマリ子をひきずるようにして下ってゆく。 「ああ、なるほ....
東京要塞」より 著者:海野十三
なと思った。 それからまだ小一時間もトラックはごとごとと走った揚句、ごろごろと下り坂を下りてゆくような気がしたと思ったら、やがて車はごとんと停った。 これで....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
したげな。 もっとも見さっしゃります通り、道はなぞえに、向へ低くはなりますが、下り坂と云う程ではなし、その疾いこと。一なだれに辷ったようで、やっと石段の下で、....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
塗ってやっていた。それは加奈子が洋行する四五年前の日本の春の午後だった。 道は下り坂になって来た。人々の帽子の上を越して電車の交叉点の混雑、それからまた向うへ....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
を気取っていた。が、幕府が瓦解し時勢が一変し、順風に帆を揚げたような伊藤の運勢が下り坂に向ったのを看取すると、天性の覇気が脱線して桁を外れた変態生活に横流した。....
寺町」より 著者:岩本素白
る、狭い町筋の左右に、寺の多いことを語って居る。その町にある狭い横丁、それは急な下り坂になって、小家がちの谷の向うが、又上り坂で、その先は若葉で隠れて居るような....