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下り立つ
「下り立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下り立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「親子」より 著者:有島武郎
った。小作人たちはあわてて立ち上がるなり、草鞋のままの足を炉ばたから抜いて土間に
下り立つと、うやうやしく彼に向かって腰を曲げた。 「若い且那、今度はまあ御苦労様....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
打合せておいた時刻が来たのだ。安息日が過ぎて神聖月曜日が来たのだ。クララは床から
下り立つと昨日|堂母に着て行ったベネチヤの白絹を着ようとした。それは花嫁にふさわ....
「夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
中の藻草のように、くねくねとゆらぎながら、伸上って来るのだった。 黒吉が地面へ
下り立つと、所員達は心配そうな顔をして駈寄って来たけれど、彼は、黙って松葉杖を受....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
されては、谷の中へと飛び込む。犬は森の中を潜るたびに、ビッショリになって、川縁へ
下り立つたびに、プルプルと総身を震わせては、水を切っている。 槍ヶ岳から落ちる....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ものだから、おりから通りがかりの野良犬を驚かしたものと見えます。 この男は地へ
下り立つと、パッパと合羽《かっぱ》の塵を払い、垣根越しに屋敷の奥の方の燈《ともし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 籠目形《かごめがた》の鉄瓶《てつびん》のつるへ足をかけて、ひょいと炉べりへ
下り立つと、無遠慮に弁信と向い合ったところへムズと小さなあぐらをかいてしまい、十....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れておりますから、竹藪はそこで両断されて、一方は松尾山までの林つづき。藤川の岸へ
下り立つと、お雪ちゃんは、そこにささやかな丸木橋があるのを見、丸木橋のこちらに、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ったともづなを手繰《たぐ》り出しますと、最初にやっと舟へ身をうつした覆面の男が、
下り立つと、急にしゃんとした形になって、 「棹《さお》を貸して下さい」 いった....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
出したのだった。
藍《あい》いろの海。
うす青い連山。
かえり見ると、磯に
下り立つ覆面のさむらいの姿は、針の先となって視界のそとに没し去ろうとしていた。
....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
する間に電燈の蒼白き光曇れる空に映じ、はやさらばと一行に別れてプラットフォームに
下り立つ。丸文へと思いしが知らぬ家も興あるべしと停車場前の丸万と云うに入る。二階....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
けたが、身を浮かばせてツルツルと上がる。 しばらく邸内を窺ったが、やがて地上へ
下り立つと、 「藪氏、ちょっとご覧なされ、面白いものが見られます」 「は、しかし....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
のときなどは黄昏、芝居の頼兼公のような濃紫の鉢巻をして駕籠に揺られ、楽屋口ちかく
下り立つと、つき添いの萬朝の背に片手かけて、しずかにしずうかに楽屋に入った。いか....
「釜沢行」より 著者:木暮理太郎
飛去している。能く見ると小さな白い花が咲いているのだ。水を汲みに飯盒を下げて汀へ
下り立つと、向う岸は崖をなして、其下は深くはないが淵になっている。崖には日蔭躑躅....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
は人には構わず先に立って中ノ谷をドンドン下った。三、四町も行くと広いが急な雪渓に
下り立つ。長次郎が続いて来たので、連れ立って遥か下に見える河原をさして急いだ。途....