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下る
「下る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
相手にして、血にまみれた太刀《たち》をふるいながら、小路《こうじ》を南へ二三町、
下るともなく下って来た。今は沙金《しゃきん》の安否を気づかっている余裕もない。侍....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
ただ》いて、そこそこ、また西王母の襖《ふすま》の向うへ、ひき下った。すると、ひき
下る拍子に、後《うしろ》から袖を引いたものがある。ふりかえると、そこには、了哲《....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
わまりました。罪を罪と知るものには、総じて罰と贖《あがな》いとが、ひとつに天から
下るものでござる。」――「さまよえる猶太人」は、記録の最後で、こう自分の第二の疑....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
やいた空。突然大きい分度器が一つ上から大股《おおまた》に下って来る。それは次第に
下るのに従い、やはり次第に股を縮め、とうとう両脚を揃《そろ》えたと思うと、徐ろに....
「或る女」より 著者:有島武郎
をちょっとして見せた。
横浜で倉地のあとに続いて船室への階子段《はしごだん》を
下る時始めて嗅《か》ぎ覚えたウイスキーと葉巻とのまじり合ったような甘たるい一種の....
「或る女」より 著者:有島武郎
れども声は出なかった。そのくせ葉子の手は本能的に自分の頬をかばうように倉地の手の
下るのをささえようとしていた。倉地は両|肘《ひじ》まで使って、ばたばたと裾《すそ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
価に引受けると勧誘した。糧秣廠から買入代金が下ってもそれは一応事務所にまとまって
下るのだ。その中から小作料だけを差引いて小作人に渡すのだから、農場としては小作料....
「星座」より 著者:有島武郎
ある読本を取り上げて、いじくりまわした。
けれども渡瀬はどうしてもそのまま引き
下る気にはなれなかった。彼は無恥《むち》らしい眼を挙げておぬいさんを見上げ見おろ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
く。そして岸辺との摩擦によって私を囲む水も私自身も、中流の水にはおくれがちに流れ
下る。更に或る時は、人がよく実際の河流で観察し得るように、中流に近い水の速力の為....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
から、もし太陽の雰囲気が空気でできているとしたら、その温度は高さ一キロメートルを
下る毎に二七四度ずつ増すはずである。しかるに太陽の外側の雰囲気は主に水素から成立....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を首に巻いたのが、鼠色の兵子帯で、ヌーと出ると、捻っても旋っても、眦と一所に垂れ
下る髯の尖端を、グイと揉み、 「おいでい。」 と太い声で、右の洋冊を横縦に。そ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
居た蚊帳の内を窺って見ることで。 蹴出しも雪の爪尖へ、とかくしてずり下り、ずり
下る寝衣の褄を圧えながら、片手で燈をうしろへ引いて、ぼッとする、肩越のあかりに透....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
である。 トロッコの上には土工が二人、土を積んだ後に佇んでいる。トロッコは山を
下るのだから、人手を借りずに走って来る。煽るように車台が動いたり、土工の袢天の裾....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
のだろうと思ったからである。だが、朝の山路はいい。殊に雨に洗われた闊葉樹林の路を
下るのはいい。二人はいつの間にか元気になって、ストンストンと速足で歩いた。 こ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
行く。汗がいち早く頸のほとりを湿してくる。次いで額から湧き出でて両頬を伝うて流れ
下るようになる。拭っている暇がない。暇がないというよりは寧ろ拭い去る必要を感じな....