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下ろし
「下ろし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下ろしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
《ことば》につれて我々は、陳列室のまん中に据えてあるベンチへ行って、一しょに腰を
下ろした。室内にはもう一人も人影は見えなかった。ただ、周囲には多くの硝子戸棚《ガ....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
右にあるのは日清汽船会社。」
僕は葉巻を銜《くわ》えたまま、舟ばたの外へ片手を
下ろし、時々僕の指先に当る湘江《しょうこう》の水勢を楽しんでいた。譚の言葉は僕の....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
助かる気もしたのに違いなかった。
北風は長い坂の上から時々まっ直《すぐ》に吹き
下ろして来た。墓地の樹木もその度にさあっと葉の落ちた梢《こずえ》を鳴らした。僕は....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
とめながら、段梯子の上をふり返った。そこには来合せていた芸者が一人、じっと僕を見
下ろしていた。僕は黙って段梯子を下り、玄関の外のタクシイに乗った。タクシイはすぐ....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
んだ?」
僕のこう尋ねた時にはMはもう湯帷子《ゆかた》を引っかけ、僕の隣に腰を
下ろしていた。
「何、水母《くらげ》にやられたんだ。」
海にはこの数日来、俄《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
向けて、車夫は蹴込《けこ》みの前に腰をかけているらしく、悠々と楫棒《かじぼう》を
下ろしているのです。これを見た新蔵は、始めて浮かぬ顔色の底に、かすかな情熱を動か....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
字架聖像を恭しく指した。十字架上の基督は痛ましくも痩せこけた裸形のままで会衆を見
下ろしていた。二十八のフランシスは何所といって際立って人眼を引くような容貌を持っ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
造物を自生的に発生させることとした。そして第一に水を創造し、その中に一つの種子を
下ろした。この種子がだんだん生長して、黄金のように輝く卵となった。それは千筋の星....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
る時刻だとは思いながら、筋肉にこびりついた懶い疲労にがっかりして、暫くそこに腰を
下ろしたままであったが、それでもやがて闇の野に飛ぶ鬼火のように一人一人に散って行....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
、力をこめて羽ばたきしながら二人のあとを追いかけました。王子はもとのとおり町を見
下ろした形で立っていられますが、もうなんにも見えるのではありませんかった。 燕....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
なんかしないで済んだろう。 私は三十年このかた毎日腰をかけて来た肱掛椅子に腰を
下ろした時に、ふと自分の周りにあるものの上に眼を投げた。と、私は気が狂ってしまう....
「初雪」より 著者:秋田滋
けなのに、もう疲れてしまったらしい、喘ぐような息遣いをしながら、そのベンチに腰を
下ろした。蒼ざめた顔はこの世のひとの顔とも思われない。そして頻りに咳をした。彼女....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
ルゼンチンの首府ブエーノスアイレスの都の岸にひろがっている大きなプラータ河に錨を
下ろしました。マルコは気ちがいのようによろこびました。 「かあさんはもうわずかな....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
隅に羊毛の大袋があって、紡ぐばかりになっていたし、また別の隅には、機織り機械から
下ろしたばかりの麻と毛とを交ぜたたくさんの織物や、玉蜀黍の穂が置いてあった。乾し....
「活人形」より 著者:泉鏡花
い。と小洋燈の心を繰上げて、荒々しく人形の被をめくり、とくと覗きて旧のように被を
下ろし、「うむ、この方は何も別条は無い。やれこれで少しは安堵た。それにしても下枝....