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下垂
「下垂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
下垂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
方がないと弁解していた。そうして消化器病の書物などをひっくり返して、アトニーとか
下垂性《かすいせい》とかトーヌスとかいう言葉を使った。自分などが時々彼に忠告めい....
「鬼涙村」より 著者:牧野信一
思議な夢のように映った。私たちの仕事部屋は酒倉の二階だったので、それに私は当時胃
下垂の症状で事実は一滴の酒も口にしなかったにもかかわらず、昼となく、夜となく、一....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
じて浜松に著いて、初め暫くのほどは旅店にいた。次で母子の下宿料月額六円を払って、
下垂町の郷宿山田屋|和三郎方にいることになった。郷宿とは藩政時代に訴訟などのため....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
れそうな妄想に導くのであった。 赤ん坊の胴を持ってつるし上げると、赤ん坊はその
下垂した足のうらを内側に向かい合わせるようにする。これは人間の祖先の猿が手で樹枝....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
く》瞑目《めいもく》して坐し、躯量偉大、形容|枯槁《ここう》し、鬚髪《しゅはつ》
下垂して肩に被《かか》り面に蒙《かむ》る。王も都人も見物に出懸け香花《こうげ》を....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
を確めた。(夫の外にも同じ顔の同じ年頃の男で、左肺門に病竈があり、胃が五センチも
下垂している人があったとしたら、どうであろう? いやそんな人間があろう筈がない。....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
わが頭を握り拳でもってゴツンゴツンと殴った。その痛々しい響は、物云いたげな有坂の
下垂死体の前に、いつまでも続いていた。 13 杜はミチミを連れて、久....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
樹の間に、居所かわるがわる、月の形かからむとして、動くにや、風の凪ぎたる柳の枝、
下垂れて流れの上に揺めきぬ。 来かかる人あり、すれ違いて振向きたれば、立停りて....
「幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
った。庭の隅の茂みの中に、何やら淡い色があった。よく見ると、大きな枸杞《くこ》の
下垂《しだ》れ枝が、薄紫の小さな花を一杯つけてるのだった。 彼はその花に暫く見....
「南島譚」より 著者:中島敦
咳《せき》をしながら歩いていた。可笑《おか》しかったのは彼の眼瞼が著しくたるんで
下垂していることで、そのために彼は殆ど目をあけていることが出来ない。彼が他人の顔....
「扉は語らず」より 著者:小舟勝二
の彫像の肩に載せて、猿の身軽さを保ち、彼に分担された仕事をやっていた。 彼の脚
下垂直六十呎、視線は一階中央大広間の寄木板張りの床に衝突する。今夜の装飾工事の中....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
式のコーニッシュ罐で、簡単な装置で、充分に熱瓦斯を利用するため、水管が焔室の中に
下垂し、粉炭を使用するので、焚口は小さく、二重に火格子を持つ特殊な構造になってい....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
ネノモトユイとしてある。そして「木皮ニ生ズル処ハ一筋ニシテフトシ、末ニ枝多ク分レ
下垂シテフサノ如シ、白色ニシテ微緑ヲオブ、フトキ処ヲシゴケバ皮細カニ砕テ離レズ、....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
ゴしているのだ。そうすると水分の重量《おもみ》で胃袋を引下げるようになるから胃の
下垂症《かすいしょう》やら胃拡張《いかくちょう》やらアトニー症という病気を起す。....
「白っぽい洋服」より 著者:田中貢太郎
唇をした大柄な女の姿が浮んでいた。 小径は残りすくなになって来た。路の左側から
下垂れて出た赤松の枝が頭の上にあった。丘のあがりたてに点いた街燈の燈が微にぼんや....