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「下葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

下葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
見える。重ね綿のような恰好《かっこう》に刈られた松も見える。みな黝《くろず》んだ下葉と新しい若葉で、いいふうな緑色の容積を造っている。 遠くに赤いポストが見え....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
た一弾は、照準《しょうじゅん》誤《あやま》たず、四つ目垣を通り越して桐《きり》の下葉を振い落して、第二の城壁|即《すなわ》ち竹垣に命中した。随分大きな音である。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
つ手の葉が二、三枚新らしく折れているらしいのが留吉の眼についた。近寄って見ると、下葉は果たして折れていた。しかも何者かが無理に掴んで引き折ったらしく見えた。おそ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
屍体に剖見を要求するまでには至らなかったのでした。そうなると第一の疑問は、左肺の下葉部を貫いたところで、それがはたして、即死に価するものかどうか――という事です....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
も遠近に聞える。 熟しかけた稲田の周囲には、豆も莢を垂れていた。稲の中には既に下葉の黄色くなったのも有った。九月も半ば過ぎだ。稲穂は種々で、あるものは薄の穂の....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
摩下駄を突かけて畑に出た。さしもはしゃいで居た畑の土がしっとりと湿うて、玉蜀黍の下葉やコスモスの下葉や、刎ね上げた土まみれになって、身重げに低れて居る。何処を見....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
はがき一枚来ぬことの何となく気にかかり、今しも日ながの手すさびに山百合を生くとて下葉を剪みおれる浪子は、水さし持ちて入り来たりし姥のいくに 「ねエ、ばあや、ちょ....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
友達を一人失くした哀しみを抱きながら、雨蛙はぐしょ濡れになって、無花果の上葉から下葉へと飛び下りました。 そこには皺くちゃな蟇蛙がいて、待っていたように悪態を....
源氏物語」より 著者:紫式部
っていない。 君し来《こ》ば手馴《てな》れの駒《こま》に刈り飼はん盛り過ぎたる下葉なりとも とても色気たっぷりな表情をして言う。 「笹《ささ》分けば人や....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
の歌は民謡風なものだから、何か相聞的な感じが背景にひそまっているだろう。「秋萩の下葉の黄葉花につぐ時過ぎ行かば後恋ひむかも」(巻十・二二〇九)、次に評釈する、「....
丹下左膳」より 著者:林不忘
……耳を抉《えぐ》る静寂。 夏の晴夜は、更《ふ》けるにしたがって露がしげって、下葉《したば》に溜まった水粒が、ポタリ! 草を打つ音が聞こえる――。 源三郎は....
恩人」より 著者:豊島与志雄
草が枯れつくして、只|車前草《おんばこ》ばかりが繁茂する、そしてその苔は車前草の下葉を地面に吸い附けて、地面と葉との間の狭い空間に生息する。その葉が枯れると又新....
おせん」より 著者:邦枝完二
こへお通し。――」 六 初霜を避けて、昨夜縁に上げられた白菊であろう、下葉から次第に枯れてゆく花の周囲を、静かに舞っている一|匹の虻を、猫が頻りに尾を....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
かしこの茎と指すところは前述の通りの極めて短かい茎で球の底部にあり、この茎から地下葉が重りつつ生じている。ユリ類の鱗茎はバラバラになった地下葉が出ているが、ヒガ....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
筧の水をうけ入れた桶の中には、見事な山桜の枝が無造作に投げ込んである。直ぐ側には下葉を摘み採られて茎の伸びた五、六本の青菜がそれでも花を着けている。米と味噌が少....