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不協和
「不協和〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不協和の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「過古」より 著者:梶井基次郎
った。 ひと月ふた月経った。日光と散歩に恵まれた彼の生活は、いつの間にか怪しい
不協和に陥っていた。遠くの父母や兄弟の顔が、これまでになく忌《いま》わしい陰を帯....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
」熊城は眼をショボつかせて、からくも嗄れ声を絞り出した。恐らく彼は、雷鳴のような
不協和の絃の唸りを聴く心持がしたことであろう。
「そうなんだ熊城君、君は猶太人が....
「感覚と科学」より 著者:寺田寅彦
無意識の間に安々と仕上げて、音の成分を認識すると同時に、またそれを総合した和弦や
不協和音を一つの全体として認識する。また目は、たとえば、リヒテンベルグの陽像と陰....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
は残像《ナハビルド》のようなものと、次に来る乙との間のある数量的な関係で音の協和
不協和が規定されることだけは確実である。連句の場合にはもちろん事がらが比較になら....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
る。連句は音楽よりも次元的に数等複雑な音楽的構成から成立している。音と音との協和
不協和よりも前句と付け句との関係は複雑である。各句にすでに旋律があり和音があり二....
「今日の生活と文化の問題」より 著者:宮本百合子
二十世紀に西洋音楽に深く影響して、オネガやストラヴィンスキーその他の音楽家たちが
不協和音を摂取するようになったし、文学でも即物的な要素を加えられた。 そのよう....
「若い人たちの意志」より 著者:宮本百合子
るとき家出を思わない若いひとたちがあるだろうか。おとなの世界を憎悪し、そのように
不協和な自分の存在を憎み悲しまなかった若いひとびとがあるだろうか。十代の人間悲劇....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
るかはだれにもわからない。それは勇壮なる交響曲であって、たがいに衝突し入り乱れる
不協和音までが、一つの清朗な協奏をなしている。静寂のうちに奮闘してる※《ぶな》の....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
しまう。完全和絃ばかりから構成されたものは音楽とはなり得ないように絵画でも幾多の
不協和音や雑音に相当する要素がなければ深い面白味は生じ得ないではあるまいか。特に....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
よ」 第三主題はあきらめずにいつまでも走りまわり、第一主題と鉢合せをしてえらい
不協和音をだす。 「ざま見ろ」 そんなことをしているうちにバッハの〈平均律洋琴....
「昭和四年の文壇の概観」より 著者:平林初之輔
入れられる。ダグラスの信用経済と新文学とを有機的にむすびつけようとする久野豊彦の
不協和音にも一つの席が与えられる。 だが、一定の期間がたつにつれて、この騒音と....
「破れわらじ」より 著者:三好十郎
いに近代的な調子と色彩になる必要があろう。烈しい、混雑した、都会的な多種多様な、
不協和な新しい要素が取入れられて現代的なシンフォニイにわたって行きたい。もちろん....