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「不善〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不善の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
で、私は今まで安く買い得たという満足の裏に、ぼんやり潜《ひそ》んでいた不快、――不善の行為から起る不快――を判然《はっきり》自覚し始めた。そうして一方では狡猾《....
行人」より 著者:夏目漱石
大じゃないか」 「偉大かも知れない、僕が負けるんだから。けれども大概は僕のよりも不善《ふぜん》で不美《ふび》で不真《ふしん》だ。僕は彼らに負かされる訳がないのに....
弟子」より 著者:中島敦
ねばならなかった。古《いにしえ》の君子は忠をもって質となし仁をもって衛となした。不善ある時はすなわち忠をもってこれを化し、侵暴《しんぼう》ある時はすなわち仁をも....
獄中記」より 著者:大杉栄
だ。そして堺は教科書事件の先生や役人と一緒に同居した。小人で閑居していればそんな不善はしないのだろうが、大勢でいると飛んだ不善な考えを起すものと見える。みんなは....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の要旨を味わってみたり、茶や、生花の手ずさみを試みてみたり、閑居しても、必ずしも不善を為さぬような習慣になっているのです。 しかし、これとても、本心から左様に....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
主膳が書道に凝《こ》っているということは、前にも述べたことのある通りで、閑居して不善ばかりは為《な》していないという、これが唯一の証拠かも知れません。 日和《....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を冒《おか》さねばならぬ義理合いがあるというわけでもなく、ただ閑々地にいて、つい不善を心がけるという心理からではないにしても、持った病の虫が、むらむらと頭をもた....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ばかりの空でありました。 五十二 神尾主膳が閑居してなす善か不善か知らないが、その楽しむところのものに書道がある、とは前に書きました。また、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ること。 その途端、 「チワ――これはこれは、御書見の体《てい》、小人閑居して不善を為《な》し、大人静坐して万巻の書、というところでげすか、いや、恐れ入ったも....
六月」より 著者:相馬泰三
た全然それが払えないで終ったとしたところで、それが僕の全生涯から観て、どれほどの不善でもありやしない) 何と言っても彼が黙っているので、主婦は根敗けして、 「....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
のと思う。 ある識者は雇人に休暇を与うることを全く認めずして曰く、小人閑居して不善を為すという譬の如く、休みを与えらるるのは彼ら飢えた狼に肉を見せびらかすと同....
土の中からの話」より 著者:坂口安吾
、今に至るもなお、農民は常に今居る現実を善とし真とし美とし、これを改良することを不善とする。改良の精神自体を不善|不逞にして良俗に反するものと反感をいだく始末な....
妖怪学」より 著者:井上円了
、愚民はこれを行って効験なきときは、これ不吉の日にこれを行いたるによるなり、これ不善の人のその中に加わりたるによるなりといいて、毫もその原因を究めざるは、実に笑....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
っているのでありました。それは言うまでもなく、前に述べましたように、一見、邪魔、不善に見える人間のいろいろの性情の根は、実は非常に大切なものでありますから、これ....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
さるというのである。なおその極楽には九品の階級があって、たとい五逆十悪の如き諸の不善の業を具している程のものでも、死ぬる時に善知識に遇うて妙法を聞き、念仏すれば....