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「不如意〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不如意の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
おしの」より 著者:芥川竜之介
しかし少しも効験《こうけん》は見えない。のみならず次第に衰弱する。その上この頃は不如意《ふにょい》のため、思うように療治《りょうじ》をさせることも出来ない。聞け....
富士」より 著者:岡本かの子
といい放った。 山の祖神の翁に、噎返《むせかえ》るような怒りと愛惜の念、また、不如意の口惜しさ、老いて取残されるものの寂しさがこもごも胸に突き上げて来た。 ....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
歳にしては大柄な背中が声もなく波打った。復一は身体中に熱く籠っている少年期の性の不如意が一度に吸い散らされた感じがした。代って舌鼓うちたいほどの甘い哀愁が復一の....
食魔」より 著者:岡本かの子
は立つまい。「いざとなれば死にさえすればいいのだ」鼈四郎は幼い時分から辛い場合、不如意な場合には逃れずさまよい込み、片息をついたこの無可有の世界の観念を、青年の....
雛妓」より 著者:岡本かの子
ったね」と言いながら、わたくしの芸術家にしては窮屈過ぎるためにどのくらい生きるに不如意であるかわからぬ性質の一部が、こんなことで捌けでもするように、好感の眼で見....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
めてはどうかと云うのでござります。こころよからぬ事とは存じながら、何分にも手もと不如意の苦しさに、万事を延光に任せました。さりとて今まで有りもしなかった地蔵尊を....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
さなかったり、また、各国の同志がそれに参加しようと思っても、政府の迫害や経済上の不如意なぞのいろんな邪魔があったりして、わずか一、二年の間にこの同盟も立消えにな....
成長が生んだ私の恋愛破綻」より 著者:伊藤野枝
とき、私の頭はもうTのそれからはまったく独立していたのでした。 何事につけても不如意な私の生活は、思うように勉強をすることももちろん出来ませんでした。私は自分....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
者事、四五年以前まで御隣町にまかりあり、御世話にあづかり居り候処、その後いよいよ不如意にまかり成り候て、当時は必至と難儀いたし候、もつとも在所表は身分相応の者ど....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
の水にも事欠くことがしばしばだった。この辺の農村生活に不馴れな妻は、その度ごとに不如意がちな私たちの離京生活をなげくのであった。 浩さんにそれが通ずるなんてこ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
田の巽に生抜きの気象もの。 随分派手を尽したのであるから、以前に較べてこの頃の不如意に、したくても出来ない師家への義理、紫の風呂敷包の中には、ただ清書と詠草の....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
しい意地の悪い天気であった。 緑雨の全盛期は『国会新聞』時代で、それから次第に不如意となり、わざわざ世に背き人に逆らうを売物としたので益々世間から遠ざかるよう....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
であったから、さらぬだに不足がちの家計が一層|紊乱して、内証は岡目に解らぬほどの不如意を極めていた。 かつ加うるに夫婦の間が始終折合わないで、沈黙の衝突が度々....
」より 著者:岡本かの子
仕舞ったが、蓑吉と同じ炬燵にいた室子は、この光景を見て、何とも仕様のない、人間の不如意の思いが胸に浸み入った。 だが暫くすると蓑吉は、また今度は、ちょっとお咲....
魔性の女」より 著者:大倉燁子
、こっそり見てやろうと思った。 「女房の日記なんてものは、およそくだらない。家計不如意の愚痴か、亭主の不平と定ってらあ」 冷笑しながらぱらぱらと二三枚はぐり、....