不実[語句情報] » 不実

「不実〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不実の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
動かした。泣いてはならぬと思えば思うほど葉子の目からは涙が流れた。さながら恋人に不実を責めるような熱意が思うざまわき立って来た。しまいには岡にもその心持ちが移っ....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
て、再び横手を拍てり。 「でも言われるまで憶《おも》い出さないなんざあ、あんまり不実すぎるのねえ」 「いや、不実というわけではないけれど、毎日何十人という客の顔....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
んせん」と、八橋は冷やかに答えた。 「なぜだろう」 「なぜか知りんせんが、あんな不実な人はどうなっても構いいせん」と、八橋はさらに罵《ののし》るように言った。 ....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
おもね》るようにしみじみ言った。「向柳原はほんとうにどうしたんでしょう。まったく不実《ふじつ》ですね。そんな義理じゃないでしょうが……」 「義理なんか知っている....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は若けえ男なんぞを引っ張って帰って来て、手前に逢っても、好い顔をしねえ。あんまり不実だとか薄情だとか云うんで、手前は師匠とやきもち喧嘩をしたろう。それがもとでと....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
することも出来なかった。長左衛門の女房は非常にそれを口惜しがって、死ぬきわまでも不実の友を呪っていた。長左衛門には長平という弟があって、これも兄とおなじ血をわけ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
て置かないと、他国へ来て、友達の難有さが分らないんですもの。これからも粗末にして不実をすると不可ないから………」 と莞爾笑って、瞥と見て、 「それにもう内が台....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かわすまでに運ばれて来たので、それを知ったお紋は決して承知しなかった。かれは男の不実をはげしく責めて、一体わたしというものをどうしてくれるのだとせまったが、男の....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
吉弥こそそんな――馬鹿馬鹿しい手段だが――熱のある情けにも感じ得ない無神経者――不実者――。 こういうことを考えながら、僕もまたその無神経者――不実者――を追....
河明り」より 著者:岡本かの子
所に女中をしていた女が、堺屋に現れて、子供の母だと名乗り出た。彼女は前非を悔い、不実を詫びたので、堺屋ではこの母をも共に引き取った。 母は夫と共に日露戦役後の....
初雪」より 著者:秋田滋
それに出ッくわした。その透間風が、ある時は顔に、ある時は手に、ある時は頸に、その不実な、冷かな憎悪を絶えず吹きつけるのだった。 彼女はまたしても煖房のことを口....
寡婦」より 著者:秋田滋
うに、媚を見せたり、水を向けたり、愛撫をしたりしました。それにもかかわらず、私は不実だったのです。私はあの子を気狂のように逆せあがらせてしまいました。私にしてみ....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
うなると、二人が仲にも温かい春の続こう筈はない。年上で嫉妬深いお杉は、明暮に夫の不実を責めて、或時はお前を殺して自分も死ぬとまで狂い哮った。重蔵は愈よお杉に飽い....
審判」より 著者:カフカフランツ
だいぶ時間をつぶしましたからね」 「いっしょに来なさい!」と、Kはとうとう廷丁の不実さを突きとめたというように、鋭い口調で繰返した。 「そんなにどならないでくだ....
判決」より 著者:カフカフランツ
間だけはお前はまだわしの生きている息子というわけだ――、奥の部屋に閉じこめられ、不実な使用人どもに追い払われ、骨まで老いぼれたこのおれに、何が残されているという....