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「不徹底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不徹底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
おくびょう》な驚きと躊躇《ちゅうちょ》とで迎える事によって、倉地に自分の心持ちの不徹底なのを見下げられはしないかという危惧《きぐ》よりも、倉地が自分のためにどれ....
片信」より 著者:有島武郎
兄は読まなかったことと思うが「宣言一つ」というものを投書した。ところがこの論理の不徹底な、矛盾に満ちた、そして椏者《あしゃ》の言葉のように、言うべきものを言い残....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
二人の関係を相変らず繋ぎ合わせて行こうと考えているのであった。恋に対してこうした不徹底な態度を取るということは、決して相手を満足させる方法ではなかった。お絹の胸....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
ぬ。なぜなれば、それはじつに、我々自身が現在においてもっている理解のなおきわめて不徹底の状態にあること、および我々の今日および今日までの境遇がかの強権を敵としう....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
す。たしかにモルトケ大将の案は、決戦戦争を企図したドイツの作戦計画としては、甚だ不徹底なものと言わねはなりません。シュリーフェン案を決行する鉄石の意志と、これに....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
したが、半歳、一年と、月日が経つに従って、興奮から醒めてきた。帝都の防空施設は、不徹底のままに、抛り出されてあった。雨が降れば、人間は傘をさして、濡れるのを防ぐ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
而上学的に叙述された愛と犠牲との書物に接することができなかった。すべては曖昧なる不徹底なるまがいものにすぎなかった。自己存在の深刻なる覚醒もなく、他人の魂の底に....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
のに待ち設けられてあった。 人間のいのちの受け身の考え方の優先権、自主的生活の不徹底性がここに根ざしている。 私の記憶はおぼろでそしてちぎれちぎれだ。そのフ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
徹底した近代的悲痛が現れなければならないはずであったが、案に相違して極めて平板な不徹底な家常茶飯的葛藤しか描かれていなかったのは畢竟作者の根本の芸術的興味が去っ....
エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
を喰ったエタをのみ特に賤しみ、「人中最下の種」だなどと悪口するが如きは、甚だしく不徹底の言論で、けだし一片の習慣と感情との問題から起った僻見であったに外ならぬの....
編輯雑感」より 著者:喜田貞吉
落で、二箇所ばかり講演を試みた事もあった。今にして思うと、これらの講演がいずれも不徹底極まるものであったのは恥しい。 昨年八月例の米騒動があって、京都付近でも....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
ようとするがために、種々の悶着も起ってきた。そして為政者の判断が右の如ききわめて不徹底なものであって、それでもってともかくも徳川時代を通ってきたのである。当時の....
放免考」より 著者:喜田貞吉
のが一般の名称になったというのである。伊勢貞丈の如き卓見家ですら、なおかつこんな不徹底な説明に満足していたのだ。また谷川士清の「倭訓栞」には、 。常にいふ走り下....
日本料理の要点」より 著者:北大路魯山人
るのである。料理の技法の点においても、その点睛のための味付けの点においても、甚だ不徹底極まるものであって、これがかつて、それぞれ京都一流の旗亭に在って、主要なる....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
。大迂回作戦を躊躇する事は全体の空気が許さないと云うような彼の心境であったろう。不徹底なる計画、不徹底なる指揮は遂にマルヌ会戦の結果となった。しかし事ここに至っ....