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「不治〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不治の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
に不道徳である。実際又偉大なる厭世《えんせい》主義者は渋面ばかり作ってはいない。不治の病を負ったレオパルディさえ、時には蒼《あお》ざめた薔薇《ばら》の花に寂しい....
星座」より 著者:有島武郎
随《ふずい》になったので、床にばかりついていた。気丈《きじょう》な母は良人の病が不治だということを知ると、毎晩家事が片づいてから農学校の学生に来てもらって、作文....
Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
たろうか、自殺だったろうか、自殺ならば、それが何に原因しているのだろう、あるいは不治の病をはかなんで死んだのではなかろうかと様さまに思い悩んでいられるようであり....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ない、お紺婆が臨終の苦痛に噛み附いたと云う歯の痕である、肉は死骸の口に残り、生涯不治の痕を遺したと幾度か人の話に聞いて居る、見れば全く骨までも達した者で、三日月....
家霊」より 著者:岡本かの子
持《おかもち》を借りて大事に中へ入れると、潜り戸を開けて盗人のように姿を消した。不治の癌《がん》だと宣告されてから却《かえ》って長い病床の母親は急に機嫌よくなっ....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
るくはしなかった。新一郎の病気は、だんだん悪くなっていった。その年の七月頃には、不治であることが宣告された。 新一郎が病床で割腹自殺したのは、八月一日であった....
去年」より 著者:伊藤左千夫
行為が、常に僕を不断の悔恨と懊悩とに苦しめるのだ。もっとも僕の今の境遇はちょうど不治の病いにわずらっている人のごとくで、平生苦悩の絶ゆるときがないから、何か他に....
男女関係について」より 著者:大杉栄
彼女には、本当に安心して頼るべき親戚もなく友人もなく、そして彼女自身は、いわゆる不治の病を抱いて、手荒らな仕事の何一つできないからだでいるのだ。 それでもなお....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
りの婦人がエドヴィナ伯爵家の令嬢であることを知っていますか。それから、長いあいだ不治の精神病に苦しみながらあの廃宅に住んでいるのが、あの娘さんの伯母であるという....
安死術」より 著者:小酒井不木
スタス大帝も、「ユータネシア、ユータネシア」と叫んだそうですが、もしお互に自分が不治の病にかかって、臨終にはげしい苦痛が来たとしたら、恐らくその苦痛を逃れるため....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
のはなく、何か由緒のあるものばかりで、往診に行った時、遠い山中で掘って来たとか、不治と思った患者が全快したお礼に持って来たとかいうようなので、目ぼしいのは、お邸....
」より 著者:岡本かの子
新しい感触を与えるように、京子を時々違った医者や病院へ連れて行った。京子の病症が不治のものにしても、この上重らない用心のため、時々変った医者にも診て貰って置き度....
妖怪学」より 著者:井上円了
精神作用のこれに加わるに従い、ますますそのもとに復する自然の性を妨害して、ついに不治の病に陥らしむるは必然の勢いなり。しかして医家の療法は、全く精神作用よりきた....
女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
しはただ名誉を救っただけで、恋愛を救う事が出来なかったのに気が付きました。総ての不治の創の通りに、恋愛の創も死ななくては癒えません。それはどの恋愛でも傷けられる....
春泥」より 著者:久保田万太郎
御園だのというたてものと一しょにしばらく芝居をしたが、そのうち柳田は死に、藤川は不治の病にかゝって舞台を去り、御園は間もなく生れ故郷の大阪へ帰って行った。そうし....