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不漁
「不漁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不漁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
ども時代の陰影とでもいうような、鋭い感興は浮かばなかった。その後にマロニックの「
不漁」を見た時もやはり暗い切実な感じを覚えなかった。が今、この工場の中に立って、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
松吉が顔を出した。 「親分、なにか変ったことはありませんかね」 「ここのところは
不漁だな」と、半七は笑った。「ちっとは骨休めもいいだろう。このあいだの淀橋のよう....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
沢山と云う。」 「どうですか。」 と横目で見て、嬉しそうに笑を含む。 「いずれ
不漁さ。」 と打棄るように云ったが、向直って、 「早瀬、」と呼んだ声が更まった....
「空襲警報」より 著者:海野十三
船の姿が、まだ寝足りなそうに浮かんでいるのが見えた。この天気では、今日もどうやら
不漁のような気がする……と思いながら、彼は明けゆく海原を前にして、ジャアジャアと....
「肝臓先生」より 著者:坂口安吾
を残しているわけだ。アジ文、野口文之助は現役で、つまりアジ家を起した初代であり、
不漁になやむ晩夏、ヤケ半分にイワシを探して大島方面を回航するうちに、時ならぬアジ....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
これは山口という武士であった。 「わたくしも明日は府中へ参ります所存。この頃中|
不漁で、生物にもありつかず、やるせのうござれば、親分衆に取り持って貰って……」 ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
へ向かって話しかけた。 「巳刻でもありましょうか」 若侍はそう答え、 「今日は
不漁でございますな」 笑止らしく云い足した。 「わしの魚釣、いつも
不漁じゃ」 ....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
ようとゴメはやって来た 人の心もやっと落ち着く ゴメは鴎 亦今年
不漁だったら大へんだ 余市のアイヌ居られなくなる 今年こそ乗るかそるかの瀬戸際だ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
が石巻の漁船だから、揚った魚はそッくりその市で加工する。そこで全市が殆ど魚の大漁
不漁によって生活を左右されているのである。 ここ二年ほどイワシがまるでとれなく....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
しや得意廻りは親父の方から一人|若衆をよこして、それに一切任せてある。 今日は
不漁で代物が少なかったためか、店はもう小魚一匹残らず奇麗に片づいて、浅葱の鯉口を....
「利根の尺鮎」より 著者:佐藤垢石
初心のころ、円石の流心で大漁したことは、私の釣りの歴史に特筆したい。芝河原では、
不漁のために、鮎の習性について、いろいろ教えられた記憶がある。猫滝は凄い瀬だ。 ....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
づ、さより、沙魚などばかり釣れるもので、釣り人はいずれも竿を投げうち、腕を拱いて
不漁を歎じていた。 河口の風景は素晴らしい。沖の飛島は、低い空を行く雲に遮られ....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
。池内は、銜えた煙草の最後のけむりを、大きく肺に吸い込むと、 「そうかい、今日も
不漁なんだね」 とさりげない冗談を言って、 「――じゃ一寸行って来るとしようか....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
の一つもいうようになると、さあ鰌は遁る、鰻は辷る、お玉杓子は吃驚する。 河岸は
不漁で、香のある鯛なんざ、廓までは廻らぬから、次第々々に隙にはなる、融通は利かず....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
、その頃名代の金杉の松金へ風雨を犯して綱曳き跡押付きの俥で駈付けた。ところが生憎
不漁で休みの札が掛っていたので、「折角|暴風雨の中を遥々車を飛ばして来たのに残念....