不調和[語句情報] » 不調和

「不調和〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不調和の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
こはこの種の建物には珍しく、窓掛、絨氈《じゅうたん》、ピアノ、油絵などで、甚しい不調和もなく装飾されていた。しかもそのピアノの上には、季節にはまだ早すぎる薔薇《....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
にそのたびにきっと飛び上った。こう言う彼等の戯《たわむ》れはこの寂しい残暑の渚と不調和に感ずるほど花やかに見えた。それは実際人間よりも蝶《ちょう》の美しさに近い....
或る女」より 著者:有島武郎
においがたまらないほど気になったり、人の着ている着物の色合いが見ていられないほど不調和で不愉快であったり、周囲の人が腑抜《ふぬ》けな木偶《でく》のように甲斐《か....
星座」より 著者:有島武郎
れた下卑たその言葉と、その時渡瀬の眼に映った奥さんの睫毛《まつげ》の初々しさとの不調和さが、渡瀬を妙に調子づかせた。 「飲めないことがあるものか、始終晩酌の御相....
想片」より 著者:有島武郎
には誰にもこの本能が大事に心の中に隠されていると私は信じている。この本能が環境の不調和によって伸びきらない時、すなわちこの本能の欲求が物質的換算法によって取り扱....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
下げながら、暖い朝日のひかりに半面を照らさせていた。 半七老人と飴細工、それが不調和の対照とも見えなかったが、平生から相当に他人のアラを云うこの老人としては、....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
のあらん限りの努力に答えるものはただ軽侮の音、彼らのよろこんで歌おうとする歌とは不調和な琴の音ばかりであった。 ついに伯牙という琴の名手が現われた。御しがたい....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
決心した。到底自分のような光沢も匂いもない力だけの人間が、崖の上の連中に入ったら不調和な惨敗ときまっている。わけて真佐子のような天女型の女性とは等匹できまい。交....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
ずれた面構えであるが、それが不思議にも一種の吸引力を持って居る。 丁度私が其の不調和なヤコフ・イリイッチの面構えから眼を外らして、手近な海を見下しながら、草の....
四次元漂流」より 著者:海野十三
彫の観世音菩薩が立っている。 そういう調和のとれた隙のないこの洋間に、ただ一つ不調和に見えるものがあった。それは、部屋の奥にふかく垂れ下っている、紫色の重いカ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
うちに、水夫らの不平の声と、白く輝く甲板の上にかれらの靴のきしむ音とが、いかにも不調和で不釣合いに響くのである。ただ訪れたものは一匹の北極狐のみで、これも陸上で....
カタカナニツイテ」より 著者:伊丹万作
スル。シタガツテ楷書ノ活字トカタカナノ活字モマタキワメテ調和ガヨイ。モシモコレヲ不調和ト感ジル人ガアツタラオソラクソノ人ガカタカナヲ見ナレナイセイカ、ソウデナカ....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
のですから」 この小虎の物語で、すべての疑問が解けたので有った。頭髪と扮装との不調和も、芸人の脱走としては、有り得る事と点頭れた。 「や、拙者も同じく剣道の師....
好きな髷のことなど」より 著者:上村松園
、それが自分に適ろうがうつるまいが、そんなことは一切合財考えなしで随分|可笑しな不調和な扮装をしている人が沢山あるようです。御自分ではそれでいいでしょうが、知ら....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
。沈毅な二葉亭の重々しい音声と、こうした真剣な話に伴うシンミリした気分とに極めて不調和な下司な女の軽い上調子が虫唾が走るほど堪らなく不愉快だった。 十二時近く....