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「不釣合い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不釣合いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
しいような新しい蚊帳は萌黄《もえぎ》の波を打たせて、うす穢《ぎたな》いこの部屋に不釣合いなのもかえって寂しかった。その蚊帳越しのあかりに照らされた二人の顔も蒼く....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るから一廉の武芸者らしい人物であった。 御新造のお常は、この時代の夫婦としては不釣合いと云ってもいいほどに年の若い、二十七、八の上品な婦人で、ことばに幾分の奥....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
一 わたしがいつでも通される横六畳の座敷には、そこに少しく不釣合いだと思われるような大きい立派な額がかけられて、額には草書で『報恩額』と筆....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、彼女は答えた。 「わたくしは人に仕えることの出来る者ではありません。あなたとは不釣合いです。なまじいに結婚して後日の恨みを残すような事があってはなりません」 ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
イブルセンタアとか、童話趣味の装飾も彼女らしい好みであったが、奥の一部屋だけは、不釣合いに厳つい床や袋|戸棚などちょっと擬ったところがあった。 「さあどうぞ。」....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
お君は打掛などは大急ぎで脱いでしまいました。それでも髪だけは片はずしであることが不釣合いだともなんとも気がつかないほどに、米友をもてなすことに一心になってしまい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
するんだ」 米友も、以前、舟を漕いで来たあたりを見下ろして返事をしました。この不釣合いな相合傘が、橋の半ばへ進んで来た時に、 「御免なさい」 橋の欄干に立ち....
六月」より 著者:相馬泰三
かに、さもさも何か「重大事件」といったように重たく横たえられてある。天井の高さが不釣合いに高く、床のところが何かの底のように感ぜられる。 薄い、あるかなきかの....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
まり刑罰で終わるこの呪うべき年があろうとは、おそらく信じかねるだろう。この一年は不釣合いな感じを与えるだろう。 それにしても、みじめなる法律とみじめなる人間ら....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
長平もちょっと二の句がつげない。この青年からパンパンという言葉をきいても、全然不釣合いで、架空の話をきかされているようである。パンパンが遊びにくる。泊って行く....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
水夫らの不平の声と、白く輝く甲板の上にかれらの靴のきしむ音とが、いかにも不調和で不釣合いに響くのである。ただ訪れたものは一匹の北極狐のみで、これも陸上では極めて....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
られた。その二階の書斎の天井は非常に低かった。先生は長身だったのでなおさらそれは不釣合いでいぶせなく見えた。 「天井が低くていやだと思うけれど、直ぐ大津の河原に....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
商なっていた。薪炭商から瓦斯の道具を売る店へ、文化進展の当然の過程だ。だが椅子へ不釣合いにこどもを抱えて腰かけているおかみさんはもとのおかみさんに違いないが人相....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
水々しく若やいだもので、その当時|綺麗ざかりの福助のお軽と立ちならんで、ちっとも不釣合いにみえないのみか、“いつか故郷へ帰る雁”などはお軽以上に柔かくしなやかに....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
とを孕んだ紙の層はいかに高くとも、実に軽々としたものにはちがいない。だがあまりの不釣合いではないか。おお、紙の入道雲が歩行く歩行く、光り輝く紙の雪山が。 そこ....