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与える
「与える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
与えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
悪意のあるらしい素振りを示した。それはたとい徐《おもむ》ろにもせよ、確実に効果を
与えるものだった。
お芳が泊ってから一週間ほどの後、武夫は又文太郎と喧嘩をした....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
の道」の芸術的表現である。だから、そこに矛盾はない。が、その「先王の道」が芸術に
与える価値と、彼の心情が芸術に与えようとする価値との間には、存外大きな懸隔《けん....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
トンネルへはいる車中の明暗を見上げたなり、いかに多少の前借の享楽《きょうらく》を
与えるかを想像した。あらゆる芸術家の享楽は自己発展の機会である。自己発展の機会を....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
、如何にも活《い》き活《い》きと横たわっていた。
譚《たん》は若い船頭に命令を
与える必要上、ボオトの艫《へさき》に陣どっていた。が、命令を
与えるよりものべつに....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
、三人の前へ進みよると、天主のおん教を捨てるか捨てぬか、しばらく猶予《ゆうよ》を
与えるから、もう一度よく考えて見ろ、もしおん教を捨てると云えば、直《すぐ》にも縄....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
動くともなく動き、流るるともなく流れる大川の水の色は、静寂な書斎の空気が休みなく
与える刺戟《しげき》と緊張とに、せつないほどあわただしく、動いている自分の心をも....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
て見た事がない。が、その苦しみを、不当だとは、思っている。そうして、その苦しみを
与えるものを――それが何だか、李にはわからないが――無意識ながら憎んでいる。事に....
「早春」より 著者:芥川竜之介
。公園、カフェ、ステエション――それ等はいずれも気の弱い彼等に当惑《とうわく》を
与えるばかりだった。殊に肩上《かたあ》げをおろしたばかりの三重子は当惑以上に思っ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
追放に処する事にした。しかしこのまま、彼の縄を解いて、彼に広い国外の自由の天地を
与えるのは、到底《とうてい》彼等の忍び難い、寛大に過ぎた処置であった。彼等はまず....
「少年」より 著者:芥川竜之介
とを勧《すす》めるのである。殊に少年や少女などに画本《えほん》や玩具《がんぐ》を
与える傍ら、ひそかに彼等の魂を天国へ誘拐しようとするのは当然犯罪と呼ばれなければ....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
答弁は参謀の心に、明瞭ならば明瞭なだけ、一層彼等を間牒にしたい、反感に似たものを
与えるらしかった。
「おい歩兵《ほへい》!」
旅団参謀は鼻声に、この支那人を捉....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ものである。
*
道徳の与えたる恩恵は時間と労力との節約である。道徳の
与える損害は完全なる良心の麻痺《まひ》である。
*
妄《みだり》に道徳....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
揮することそのことにもムキにはならない人である。これは時には宇野浩二に怪物の看を
与えるかも知れない。しかし其処に独特のシャルム――たとえば精神的カメレオンに対す....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
はないと云う。云う心はメリメよりも、一つ一つの作品に渾成の趣を与えなかった、或は
与える才能に乏しかった、と云う事実を指したのであろう。この意味では菊池寛も、文壇....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
の羽を頂かせ、胸には飾りをつけさせる。われわれは、勳章や、褒美や位階などを彼等に
与える。彼等は人の血を流すことをただ一つの使命としている廉で、威張ったり、人から....