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「世嗣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

世嗣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ん。もし唯今茂作の身に万一の事でもございましたら、稲見の家は明日《あす》が日にも世嗣《よつ》ぎが絶えてしまうのでございます。そのような不祥がございませんように、....
古典風」より 著者:太宰治
めた、カリギュラ王は、その臣下の手に依って弑《しい》せられるところとなり、彼には世嗣《よつぎ》は無く全く孤独の身の上だったし、この後、誰が位にのぼるのか、群臣万....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に世を去った。その臨終のふた月ほど前に、嫡子の忠作が急病で死んで、次男の忠之助を世嗣ぎに直したいということを幕府に届けて出た。嫡子が死んで、次男がその跡に直るの....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
供侍三百余と共に、物々しい警固だつた。一座の長老勝家、先ず口を開いて、織田家の御世嗣には御利発の三七信孝殿を取立参らせるに如くはない、と云った。勢威第一の勝家の....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
文木と申せば、若殿紋之丞様の事ではないかと存じます、お秋の方のお腹の菊之助様をお世嗣に仕ようと申す計策ではないかと存ずる、其の際此の密書を中ば引裂いて逃げました....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
(徳川|家定)は生来多病で、物言うことも滞りがちなくらいであった。どうしてもよい世嗣ぎを定めねばならぬ。この多事な日に、内は諸藩の人心を鎮め、外は各国に応じて行....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
州藩の当主は名を茂徳という。六十一万九千五百石を領するこの大名は御隠居(慶勝)の世嗣にあたる。木曾福島の代官山村氏がこの人の配下にあるばかりでなく、木曾谷一帯の....
古事記物語」より 著者:鈴木三重吉
お生みになりました。 忍穂耳命は大神のご前へおいでになって、 「私たち二人に、世嗣の子供が生まれました。名前は日子番能邇邇芸命とつけました。中つ国へくだします....
走れメロス」より 著者:太宰治
さんの人を殺したのか。」 「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。....
八人みさきの話」より 著者:田中貢太郎
家督相続の評定をした。それは長男の信親が豊後の戸次川で戦死したので、四男の盛親を世嗣ぎとして、それに信親の女を配偶にしようと云うのであった。 元親には香川親和....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
尼の面の皮にこすられてすべっこくなったのかもしれない。 「阿Qの罰当りめ。お前の世嗣ぎは断えてしまうぞ」 阿Qの耳朶の中にはこの声が確かに聞えていた。彼はそう....
地上」より 著者:島田清次郎
わね。わたしが可愛がってあげますから。容一郎さんというの、北野家の大切の大切のお世嗣ぎですのね」お里は容一郎をあやしているうちに泣きたい気がして来た。お信も涙を....
盗難」より 著者:佐藤垢石
を齎して直ぐ上京した。私は、妻と妹を前にして祝杯を過ごしたのである。 わが家の世嗣ができたということ、また親に安心させることができたという喜びは勿論であったが....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
この杯ゆ飲む酒は 涙をさそふ酒なりき。 死なん日近くなりし時 国の県の数々を世嗣の君に譲りしに、 杯のみは留め置きぬ。 海に臨める城の上に 王は宴を催しつ....
恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
い二十二三、眼の覚めるような赤色ボックス型オーヴァを着ていた。彼女は松岡旧伯爵の世嗣一雄夫人で、類稀れな美貌の持主として有名であった。 没落階級に属する旧伯爵....