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世帯持
「世帯持〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
世帯持の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
《はし》を控えて渠が饋餉《きしょう》を待てり。白糸は月々渠らを扶持すべき責任ある
世帯持ちの身となれり。 従来の滝の白糸は、まさにその放逸を縛し、その奇骨を挫《....
「芽生」より 著者:島崎藤村
て寄《よこ》した。私も何処か静かなところでこの疲労に耽《ふけ》りたい、と思った。
世帯持のかなしさには、容易に家を飛出すことも出来なかったのである。急に私の家では....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
兄弟に変っている。そして針を手馴れた手付きで、スイスイと抜きながら、「どうだい、
世帯持ちのいい、女房を持ちゃこんなもんだよ。これからは、みんなこんな工合に、俺が....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
面的なものに馴れて、珍らしさを感じなくなった中頃から、私は赫子を、平凡で常識的な
世帯持ちの好い街のおかみさんのようなたちの女であることが判った。彼女の人前でする....
「家」より 著者:島崎藤村
を控えていた。小母さん達はかわるがわる来て、時の総菜が出来たと言ってはくれたり、
世帯持の経験を話して聞かせたりするように成った。 東京の学校が暑中休暇に成る頃....
「家」より 著者:島崎藤村
角彼の始めた長い仕事が思わしく果取らないというモドカシさが有った。稼ぎに追われる
世帯持の悲しさが有った。石垣に近く漕いで通る船は丁度彼の心のように動揺した。 ....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
から頭数が一人殖えるんだ。うっかりしちゃいらんねえ。」と低声で言った。 「イヤ、
世帯持ちはその心がけが肝腎です。」と和泉屋は、叔母とシミジミ何やら、談していたが....
「黴」より 著者:徳田秋声
うのがえいのんや。私が気に入りそうなのを見立てて上げるよって……東京ものは蓮葉で
世帯持ちが下手やと言うやないか。」笹村が湯に中って蒼い顔をして一トまず大阪の兄の....
「爛」より 著者:徳田秋声
つに分れるから、つまらないじゃないの。」 「けれど、あの女もよくないよ。彼奴さえ
世帯持ちがよくて、気立ての面白い女なら、己だってそう莫迦な真似はしたくないのさ。....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
の瑞祥だすぜ。 ここで夫婦にならはったら、直ぐにな、別に店を出してもらうなり、
世帯持ってそこから本店へ通うなり、あの、お爺はんと、三人、あんじょ暮らして行かは....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
たり、エッフェル塔の影が屋根に落ちる静かなアパルトマンに、女中を一人使った手堅い
世帯持ちの真似をしてみたり、新吉は巴里を横からも縦からも噛みはじめた。巴里で若し....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
た、(その食卓は大層立派に飾り立てられていた。)と云うのは、こう云ったような若い
世帯持ちと云うものは、こう云う事に懸けてはいつでも神経質で、何も彼もちゃんとなっ....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
合わせて帰りが急がれたが、浜子は虫籠を物色してなかなか動かないのです。 浜子は
世帯持ちは下手ではなかったが、買物好きの昔の癖は抜けきれず、おまけに継子の私が戻....
「十番雑記」より 著者:岡本綺堂
となれば、何かと面倒なことが多い。ふだんでも冬の設けに忙がしい時節であるのに、新
世帯持の我々はいよいよ心ぜわしい日を送らなければならなかった。 今度の家は元来....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
母は、こんなずばっとしたことを時々やります。 生粋の京娘 けれど一方
世帯持ちは実によいのでした。こんな話をすると人は何と思われるかしれませんが、母は....