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世捨て人
「世捨て人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
世捨て人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
き届いているか確かめた。見返ると船に乗る時着て来た単衣《ひとえ》のじみな着物は、
世捨て人のようにだらりと寂しく部屋《へや》のすみの帽子かけにかかったままになって....
「源氏物語」より 著者:紫式部
、群集の中に倒れかかるようになって見物していた。平生こんな場合に尼などを見ると、
世捨て人がどうしてあんなことをするかと醜く思われるのであるが、今日だけは道理であ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
。これまでどおりに君は思っておればいい。別荘その他の証券は私のほうにあるが、もう
世捨て人になってしまってからは、財産の権利も義務も忘れてしまって、留守居《るすい....
「源氏物語」より 著者:紫式部
さいまして、私に御委託あそばしたある祈祷《きとう》がございました。くわしいことは
世捨て人の私に想像ができませんでございました。大臣《おとど》が一時失脚をなさいま....
「源氏物語」より 著者:紫式部
の南の町の御殿へ桐壺の方は移った。七日の夜には宮中からのお産養があった。朱雀院が
世捨て人の御境遇へおはいりになったために、そのお代わりにあそばされたことであった....
「源氏物語」より 著者:紫式部
問と素養が見え、仏も神も聞き入れるであろうことが明らかに知られた。どうしてそんな
世捨て人の心にこんな望みの楼閣が建てられたのであろうと、子孫への愛の深さが思われ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
て醜くなった顔に化粧をして座敷の中を行き歩いていたりしている一方で弁は、いよいよ
世捨て人らしいふうを見せて、 人は皆いそぎ立つめる袖のうらに一人もしほをたるるあ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
で、やがて対馬守を先頭に登ってきたのは、帝釈山の頂近く、天を摩《ま》す老杉の下に
世捨て人の住まいとも見える風流な茶室です。
このごろの茶室は、ブルジョア趣味の....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
び出した。そのころ父は、一切の公職から隠退して、いくら勧められても出ず、まことに
世捨て人のごとく、佃島の閑居に隠遁していたので、あたしは父の傍にいて、父を慰めな....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
ざいます。……ところが喜撰と申しますお方は、どういうお方でございましょうか」 「
世捨て人だよ。宇治山のな」 「ははあ、さようでございますかな」 「嵯峨天皇弘仁年....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
子の歌林苑の俊恵、少し若手では『方丈記』の鴨長明など、この時代の有名な歌人は多く
世捨て人であったか、
世捨て人になったかした。勿論、京都宮廷をとりまく貴紳の子弟で....
「三国志」より 著者:吉川英治
わり、座定まって、孔明の来意を聞くと、隠士は呵々と笑って、 「この老夫は、山野の
世捨て人で、何も世の中の人へ尽すことはできないと思うていたところへ、丞相が駕をま....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
にはまだほかの兵が十人もいて、彼を馬の背へ押し上げた。ていのいい捕物である。 「
世捨て人にも、災難はやって来るのか?」 するとふと、彼の襟くびの辺に、ふんわり....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
どあるが、荒壁に菅むしろを敷いたのみで、風雨にそなえ、蔀と遣戸があるだけのもの。
世捨て人の庵でも、もすこし何かしらの風雅はある。 「いや有り余る風流よ」 帝は....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
どなく、武士も朝臣としてみな朝に仕え、公卿も武を忘れてはならぬのだ。そことても、
世捨て人にならぬかぎりは」 「おゆるしを給わるなら、ふたたび山へ戻って、静かに、....