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両個
「両個〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
両個の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
長火鉢の傍へ、つかつかと帰って、紙入の中をざっくりと掴んだ。 疾い事、もう紙に
両個。 「一個は乳母さんに、お前さんから、夫人に云わんのだよ。」 ....
「文壇の趨勢」より 著者:夏目漱石
競争すなわち圏の内外に互に競争が同時に起るとすると、向後吾人の受くる作物は、この
両個の刺激からして、在来のはますます在来の方向で深く発達したもの、新興のは新興の....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
の逢いたくても逢われずにいたことを嘆って、今の邂逅を喜びかわすその時、山門の仁王
両個夜まわりに出でて初めてそれあるを知り、爾来今の如く金網の中にござるという。 ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
らないのであった。 ところで窩人と山の獣とは、ほとんど友人の仲であった。決して
両個は敵同士ではなかった。 そこでこういう奇蹟めいたことが、切羽詰まったこんな....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
ら田の畝を伝うて来る。 蟹五郎 かッかッ、怪しいものだ。小蔭れて様子を見んかい。
両個、姿を隠す。 百合 (人形を抱き、媚かしき風情にて戸を開き戸外に出づ。)夜の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いと言う。 きょう、富士が一尺伸びると、あすは八ヶ岳が一尺伸びている。 この
両個《ふたつ》は毎日、頭から湯気《ゆげ》を出して――これは形容ではない、文字通り....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たであろう。檣《マスト》を立て、煙を吐いて行く黒船の雄姿は、田山の眼と、心とを、
両個《ふたつ》の人影から奪うに充分でありました。
黒船――その名が暗示するとこ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
から。」 と苦笑する。滝太郎と囁き合い、かかることに馴れて忍の術を得たるごとき
両個の人物は、ものおもうお雪が寝起の目にも留まらず、垣を潜って外へ出ると、まだ閉....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
彼は日本の力士のいわゆるウッチャリの手のように一とねり体をひねったんだ。ために、
両個の敵はもろくも彼の前にのめった。すなわち彼は世界を舞台としての競技を断念し、....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
した。桃色の薄衣が裸休に準じて、蠱惑的の襞を作っている。胸の辺りが果物のように、
両個ムッチリ盛り上っていたが、乳房がその下にあるからであった。下腹部の辺りが円錐....
「空家」より 著者:宮崎湖処子
のさえありき、されば意地|汚《きた》なき穴さがし、情人なき嫌《きら》われ者らは、
両個《ふたり》の密事を看出《みいだ》して吹聴せんものと、夜々佐太郎が跡をつけ、夜....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
く》との強き対照によりて有名なる雪中相合傘《せっちゅうあいあいがさ》の図の如きは
両個《りょうこ》の人物共に頭巾《ずきん》を冠《かぶ》れるがため男女の区別全く判明....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
り、この価《あたえ》弐百五十円なりという。ストーブの傍《かたわら》に大小の大釜|
両個《ふたつ》あり。釜の此方《こなた》に厨人《ちゅうじん》土間に立ちて壺《つぼ》....