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並々
「並々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
並々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
た、あのあでやかな御姿は一生忘れようもございますまい。しかもこの御姫様は御気象も
並々ならず御闊達《ごかったつ》でいらっしゃいましたから、なまじいな殿上人などは、....
「星座」より 著者:有島武郎
でなぞえに裾を拡げている。その拡がり方といい勾配《こうばい》の曲線の具合といい、
並々の匠人の手で鋳られたものでないことをその鐘は語っていた。
農学校の演武場の....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
「砕氷船! そうか、砕氷船か」 聞き手の両人は、目を瞠《みは》った。 「それも
並々ならぬ新機軸を持った砕氷船なんだ。この船は、外部から氷に押されるとだんだん縮....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
そのときの僕の残念さといったら、口にも文字にもあらわせなかった。二月ばかり、
並々ならぬ苦心をして、やっと作りあげた棒が、最後の舞台で脆くも折れてしまったのだ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
と別室の半開かれた扉を窺うようにしてから、おもむろに口を開いた。「射撃手事件は、
並々の事件ではないのです。犯人は、飛行船を組立てるように、なにからなにまで周到の....
「画学校時代」より 著者:上村松園
たものでした。 そのような不自由な中から、人物画で一派をたてていった私の修行は
並々のものではありませんでした。 自由に参考の手にはいる現代の人たちは幸福であ....
「断層顔」より 著者:海野十三
は、帆村とは前々から或る仕事に関して同僚であったことがあり、しかもその当時帆村の
並々ならぬ尽力によって、彼が危機を救われたこともあって、帆村に対しては最大級の礼....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
や手続がくりかえされているので、こうして温和しくその片附くのを待っているわけだ。
並々ならぬこの辛抱づよさというものを、自分は十八年の勤続によって仕入れたのである....
「墓」より 著者:秋田滋
「死刑にしろ!」 傍聴人たちは口々にそう叫びだした。裁判長はそれを静めるために
並々ならぬ骨を折った。かくて法廷が再び静粛になると、裁判長は厳かな口調でこう訊い....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
えし、下腹部にまで及ぶと、そこでメスは停った。これだけみていると、メスの切れ味の
並々ならぬことがよく分った。それとも人体というものは、そんなに切りやすいのであろ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
がら、思わず会心の笑みを洩らした。 「おお、よう致した。さすがはお身じゃ。男でも
並々の者ではその分別は泛かぶまい。表向きには申されぬことじゃが、わしもひそかに塩....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
も突かからず、台所は横づけで、長火鉢の前から手を伸すとそのまま取れる柄杓だから、
並々と一杯、突然天窓から打かぶせる気、お勝がそんな家業でも、さすがに婦人、びった....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
あるいは富家の女婿になれと勧められ、あるいは医を学びて生業を求めよといさめらる、
並々の人ならましかば、老いたる父母の貧しうくらすを看過しがたしとて志も挫け気の衰....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
ていないという事を示す積りらしかった。 深夜、危険を冒して入って来た位だから、
並々ならぬ用事があるに違いないと思ったので、洋子は椅子の一つを指差して、 「どう....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
資料収集について非常にお世話になった。固より大したものでないが、前に述べた人々の
並々ならぬ御好意に依って、フランス革命を動機とする持久・決戦両戦争の変転を研究す....