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「中味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

中味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
た。母は「風月」の菓子折につめたカステラを親戚《しんせき》に進物にした。が、その中味は「風月」所か、近所の菓子屋のカステラだった。父も、――如何に父は真事《まこ....
十円札」より 著者:芥川竜之介
重する痩《や》せ我慢《がまん》も何も忘れたように、今も片手を突こんでいたズボンの中味を吹聴《ふいちょう》した。 「実は東京へ行きたいんですが六十何銭しかない始末....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
は無努力、無神経の、ただ形ばかりのデカダンだ、僕らの考えとは違って、実力がない、中味がない、本体がない。こう思うと、これもまた厭になって、僕は半ばからだを起した....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
した時に東屋氏が発見したと同じなマベ貝の兄弟達が、ギッシリ詰っていた。網の口は、中味が零れないように縛りつけてある。私達は立ち竦んでしまった。 「……やっぱり深....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
からの憂鬱について語ったが、夫の事でありながら打明けてくれなかったのでその憂鬱の中味がどんなものであるか少しも判らない事、それでもこの家へ着くと始めて見るこの辺....
自叙伝」より 著者:大杉栄
貯金を始めた。 母は仮名のほかは書けないので、手紙の上封はみな僕が書かされた。中味も、父と山田の伯母へやるののほかは、大がい僕が書かされた。母が口で言うのを候....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
うものは、感情に前後の関係を考える歴史趣味だ」 アルトゥールの云うこととは別の中味は、もう二重になっていて、云ってる意味と違ったものを隠しているようだった。心....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
屈めて何か鉄屑の間から拾いあげた。よく見ると鉄屑の油で穢れてはいるが、まだ新しい中味の豊富な広告マッチだ。レッテルの図案の中に「小料理・関東煮」としてある。喬介....
海底都市」より 著者:海野十三
でもない。僕がこの料理店に支払うだけの金を持っているかどうか、蟇口《がまぐち》の中味のことが心配になったのだ。 「君、君。ちょっと聞くがね、この店の料理の値段は....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
に、要するに、黄色く、むくんだ、亭主の鼻に、額が打着かったに相違ない。とにかく、中味が心中で、口絵の光氏とたそがれが目前にある、ここへ亭主に出られては、しょげる....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
、随分田舎|擦れがしてゝ仕立て憎いわね。」 ――田舎擦れてゝも巴里擦れていない。中味は生の儘だね。まだ……だから巴里の砥石にかけるんだ。生い/\しい上品な娘に充....
」より 著者:犬田卯
。真ん中に切った炉にはすで瀬戸ひきの鉄瓶がかけられ、いい加減|温っている。無論、中味はただの湯ではない。村長はまだやって来なかったが、村議たちは助役を囲んで雑談....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
よりも、お恥かしいやら、おかしいのは。…… (――お絹さん、その手提袋ですがね、中味が緊張しておりません、張合のないせいか、紐が自から、だらりとして、下駄のさき....
和製椿姫」より 著者:大倉燁子
けたり閉めたりしていたが、二三通の手紙を掴んで戻って来た。彼は震える手で封筒から中味を引き出して読み上げた。 「美耶子さんの御近況を聞くにつけ、僕はお気の毒で黙....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
しいと見えて、藤原侯が家宝売り立てをやるそうだ」と白い角封筒を渡した。 次長は中味を引き出すと低い声で、 「拝啓、菊花の候益々御多祥奉賀候、就ては来る十月十五....