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中廊下
「中廊下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中廊下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
十回も手を洗う。しまいには半時間も掛って洗っているようになり、洗って居間へ戻る途
中廊下で人にすれ違うと、また引き返して行って洗い直すのである。 おまけに結婚後....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
長襦袢《ながじゅばん》らしいものがちらと色めいた。同時に遮《さえ》ぎるものもない
中廊下に七歩の間隔を置いて、男女《なんにょ》の視線は御互の顔の上に落ちる。 男....
「食魔」より 著者:岡本かの子
方の東山三十六峯。ここの椽に人影はない。しかし別書院の控室の間から演奏場へ通ずる
中廊下には人の足音が地車でも続いて通っているよう絶えずとどろと鳴っている。その控....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
案内イ……」 時ならぬ夜の登城でした。呼び立てたお城坊主に案内されて、大廊下、
中廊下を曲りながら導かれていったところは、老中御用都屋につづいた中御評定所です。....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
、すぐまた出て来て、丁寧に、 「どうぞお通りやして」 といって、玄関から畳敷きの
中廊下を伝うて、ずっと奥の茶の間に案内していった。八畳に六畳ばかりの二間つづきの....
「書斎」より 著者:辻潤
。 奥の三畳がつまり私の初めて見つけ出した理想的な書斎だったのです。その部屋は
中廊下に隔てられた茶室風な離れで、押入れも床の間も廻り縁もついた立派に独立した部....
「一九二五年より一九二七年一月まで」より 著者:宮本百合子
しきりに建築について研究し、 「あの柱の破れなんか、震災の影響です」又 「あの
中廊下が地震のとき役に立ったですな、つっぱりますからね」等。 島野 古の物....
「乾杯」より 著者:豊島与志雄
やがて、一息、肩が動きました。 その息の根を見定めて、彼はそこから去りました。
中廊下に出て、曲り角を経て、茶の間へ行こうとしますと、そこに意外にも、塚本堅造が....
「ヘヤーピン一本」より 著者:豊島与志雄
た。 「さあさあ、旦那さんとお嬢さんは、あっちの室だ。」 両側に室が並んでいる
中廊下を通って、奥の方の六畳に、俺たちは案内された。早立ちの客があって、そこが空....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
というのを時と書き、曇という字を雲で間に合わせているのを、新子に指摘されて、午前
中廊下をかけ廻りながら、 晴を時と間違えた 曇を雲と間違えた テリヤを輝や(女中....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
したが、思いとまった。そして、刷りあげた名簿をひとまとめにしてかかえこむと、すぐ
中廊下をへだてた真向かいの室にはいって行った。そこは食堂にもなり、座談会や、その....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
敷がいくつもならんでしいんと墓場のよう、きのう人のいたけはいなぞはみじんもない。
中廊下の取っつきの梯子段《はしごだん》の裾《すそ》が見える。 襖《ふすま》のか....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
曲って突当りがお玄関で、千本格子の中は広い三和土です。かなり間数があったようで、
中廊下の果の二間がお部屋、そこから上った二階がお書斎でした。八畳位でしたろうか、....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
こまれている。僕らの日本人は、こうした句から直ちに日本の家を聯想《れんそう》し、
中廊下《なかろうか》の薄暗い冷たさや、梅雨に湿った紙の障子や、便所の青くさい臭《....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
うえ》がお女将さんの寝間でごわしたな。上ってみよう。」 初太郎のいるすぐ外が、
中廊下の往き止まりになっていてそこに、二階へ上る唯一つの梯子段がある。上るにも降....