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「中流〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

中流の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
居する下流階級の貧困ではなかった。が、体裁を繕う為により苦痛を受けなければならぬ中流下層階級の貧困だった。退職官吏だった、彼の父は多少の貯金の利子を除けば、一年....
或る女」より 著者:有島武郎
すます潤沢になって行くらしかった。葉子一家は倉地と木村とから貢《みつ》がれる金で中流階級にはあり得ないほど余裕のある生活ができたのみならず、葉子は充分の仕送りを....
片信」より 著者:有島武郎
済の原動力、社会|矯正《きょうせい》の規矩《きく》標準をもってみずから任じていた中流知識階級の人道主義者」を三種類に分け、その第三の範囲に、僕を繰り入れている。....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
る時には私は岸辺近く流れて行く。そして岸辺との摩擦によって私を囲む水も私自身も、中流の水にはおくれがちに流れ下る。更に或る時は、人がよく実際の河流で観察し得るよ....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
らかに見えた。 それを目がけて漕いで行くと、あまり急いで棹を損じたためか、まだ中流まで行き着かないうちに、その小舟は横浪に煽られてたちまち転覆した。捕り方は水....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
ぐ、泳ぐ……と感に堪えて見ている。 見事なものです。実際|巧に泳ぐ。が、およそ中流の処を乗切れない。向って前へ礫が落ちると、すっと引く。横へ飛ぶと、かわして避....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、あとを留めたのであると聞く。 ――前略、当寺檀那、孫八どのより申上げ候。入院中流産なされ候御婦人は、いまは大方に快癒、鬱散のそとあるきも出来候との事、御安心....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
議がった。遊戯のなかに切実性があり、切実かと思えば直ぐ遊戯めく。それにしても上流中流の人達が留守にした巴里の混雑のなかに、優雅な夫人と、鄙びて居ても何処か上品な....
異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
ような経済的理由からではなくて、もっと他に深い理由がありはしないだろうか。兎に角中流以下のレストラントには必ず何人かの常客がいて、毎日同じテーブルに同時間に同じ....
化鳥」より 著者:泉鏡花
にぬれて、黒くなって、あかるい日中へ出た。榎の枝からは時々はらはらと雫が落ちる。中流へ太陽がさして、みつめているとまばゆいばかり。 「母様遊びに行こうや。」 ....
」より 著者:岡本かの子
くと元のように、首を左右に振り続ける。附き添う老婢のものごし、服装の工合。何処か中流以上の家庭の若夫人ででもあるらしい。 その隣席には手足の頑丈な赫ら顔の五十....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、妙法蓮華経如来寿量品第十六。」と忙しく張上げて念じながら、舳を輪なりに辷らして中流で逆に戻して、一息ぐいと入れると、小波を打乱す薄月に影あるものが近いて、やが....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
散在す。石狩川平原の中を貫き大雪山の数峰面に当る。石狩川は下流に石狩平原を有し、中流に旭川平原を有し、上流に留辺志部平原を有す。留辺志部平原が、石狩川の有する最....
西航日録」より 著者:井上円了
寺院等、その主なるものはたいてい一覧するを得たり。また、地方の豪商紳士に接近し、中流以上の家庭および生活の一斑をも実視するを得たり。これと同時に貧民の住家を訪い....
」より 著者:岡本かの子
のいろが、河底の奥深いところに在るように見える。 黄|薔薇色に一|幅曳いている中流の水靄の中を、鐘ヶ淵へ石炭を運ぶ汽艇附の曳舟が鼓動の音を立てて行く。鴎の群が....