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中道
「中道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
中道の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
退転の市九郎も、身に迫る老衰を痛む心はあった。身命に対する執着はなかったけれど、
中道にしてたおれることを、何よりも無念と思ったからであった。 「もう二年の辛抱じ....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
砂は、粒が美しく揃って、並の火山礫などとは、容易に区別が出来る。また富士山の「御
中道めぐり」と称して、山腹の五、六合目の間を一匝《いっそう》する道がある。これを....
「親子」より 著者:有島武郎
える声で、 「いえなに……」 と曖昧に答えた。父は蒲団の左角にひきつけてある懐
中道具の中から、重そうな金時計を取りあげて、眼を細めながら遠くに離して時間を読も....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
痛快。なかなか霧晴れざる故あきらめ四時頃下山、乗鞍御岳の雄峰前に見、眺望よし。途
中道瞭らかならず偃松等をわけ、あるいは水の流れるところ等を下る、なかなかはかどら....
「運命」より 著者:幸田露伴
の山も、 功 或は 一|簣に少くるを。 学は 貴ぶ 日に随つて新なるを、 慎んで
中道に廃する勿れ。 其十に曰く、 羣経 明訓 耿たり、 白日 青天に麗る。 苟も....
「死生」より 著者:幸徳秋水
ぬ残り惜しさの妄執に由るのもある、(第四)其計画し若くば着手せし事業を完成せず、
中道にして廃するのを遺憾とするのもある、(第五)子孫の計未だ成らず、美田未だ買い....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
ようであった。 左山中|道、右桂谷道、と道程標の立った追分へ来ると、――その山
中道の方から、脊のひょろひょろとした、頤の尖った、痩せこけた爺さんの、菅の一もん....
「死刑の前」より 著者:幸徳秋水
惜しさの妄執にあるのもある。(第四)その計画し、もしくは着手した事業を完成せず、
中道にして廃するのを遺憾とするのもある。(第五)子孫の計がいまだならず、美田をい....
「死者の書」より 著者:折口信夫
ちらへ靡き、こちらへ乱れする。浪はただ、足もとに寄せている。渚と思うたのは、海の
中道である。浪は、両方から打って来る。どこまでもどこまでも、海の道は続く。郎女の....
「大江山」より 著者:楠山正雄
ございますが、この間は大和の大峰におこもりをしまして、それから都へ出ようとする途
中道に迷って、このとおりこちらの御厄介になることになりました。」 といいました....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
来た。右側に通る電車の後を敏捷に突き切り途端に鼻先きを掠める左側の電車を、線路の
中道に立止まって遣り過すときに掌で電車の腹を撫でる。撫でられた電車の腹はそこだけ....
「旅への誘い」より 著者:織田作之助
格者の名が出ていて、その中に田村道子という名がつつましく出ていた。道子の姓名は田
中道子であった。それが田村道子となっているのは、たぶん新聞の誤植であろうと、道子....
「迷信解」より 著者:井上円了
ことは狐狸の所為に帰することに定まりておる。その中に最も普通に狐惑と称するは、夜
中道を歩くに、道なき所を道のあるように覚えて歩き回り、あるいは水なき所を水あるよ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
した。「いやそれは間違って居る。この菩薩は実に有難いけれども龍樹菩薩の主張された
中道論には及ばない」といってだんだんその訳を説明しますと仕舞には「どうもチベット....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
自身に対してさえ、当然なるものはこれを許し、不当なるものはこれを斥け、円満調和の
中道を守って行くには、深く現実の知識経験を養い、その上に篤く仏智の照明を仰いで慎....