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主調
「主調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
主調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
ことについては日本派のもっている知識は無尽蔵である。……足と脛《はぎ》とは拍子の
主調を明らかにし、かつ保つ役をする。躯幹《くかん》、肩、頸、首、腕、手、指は心的....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
ては、全く空虚である。何か特殊な美術品を臨時に持ち込む、そしてその他の物はすべて
主調の美しさを増すように選択配合せられるのである。人はいろいろな音楽を同時に聞く....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
、春の魔術には、ただ一つの繰返しすらもない。全く飛躍の連続である。 この魔術の
主調をなすものは、生の歓喜であり、生命の不思議である。 夕方ふと見ると、植込の....
「解説(『風知草』)」より 著者:宮本百合子
とが出来なかった。「風知草」が柔かな紅い色の曲線で描かれたクロッキーであり、その
主調がひろ子の愛の情であるにしろ、そのような愛の流露が可能とされている歴史の過程....
「さまよえるユダヤ人の手記より」より 著者:寺田寅彦
たちのために暑気払いの清涼剤を振舞ってくれたのである。後で考えるとあの飲料の匂の
主調をなすものが、やはりこの杏仁水であったらしい。 明治二十年代の片田舎での出....
「狼疾記」より 著者:中島敦
存物かも知れぬ。しかし、このどうにもならぬ漠然とした不安が、往々にして彼の生活の
主調低音《グルンド・バス》になりかねない。人生のあらゆる事象の底にはこの目に見え....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、と彼は言い張った。クリストフの方では、正しくひくまいとあまりに念を入れすぎた。
主調ごとに、明らさまな悪意で小さな手が重々しくわきへそらされるのを見て、メルキオ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
計画の多くのものは、ただ題名だけでしか存在していなかった。一つもしくは二つ限りの
主調にまとめられるものであったが、それで十分だった。ごく若い人々と同じく彼もまた....
「悲しい誤解」より 著者:豊島与志雄
。笑顔はあまり見せないが、声は調子がいい。客たちからはみさ子さんと呼ばれる。紫を
主調にした縞模様の着物だ。 さよ子は相変らず、丸い顔で、よく肥っていて、いつも....
「文学の中の科学的要素」より 著者:寺田寅彦
き立場から見てこれと反対な位置にあるものは、色々の事実や事件の平坦な叙述的描写を
主調とした作物、例えば物語や写生文のごときものであろう。そこでは少なくも作者は黒....
「パラティーノ」より 著者:野上豊一郎
の壁画と同一系統であることで、赤々した色彩もポンペイのほど毒々しくなく、緑と黄が
主調をなしていることだった。エジプトで三千年前四千年前の壁画のすばらしいのを数々....
「レンブラントの国」より 著者:野上豊一郎
たりして端倪を知らざるものがある。どちらも抜群の色彩家ではあるが、前者は暗褐色の
主調を最後まで守り通しており、後者は赤赤とした鮮明な絵の具を吝みなくぬたくり附け....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
のかな音のする半音のグロッケン・シュピールを叩いて歩く。耳がそのメロディに乗って
主調音へさそわれる。 一番のワルツがはじまった。〈ワルツへの誘い〉だった。人影....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
《あえ》ぐような響《ひびき》を持っている。こうした俳句は写生でなく、心象の想念を
主調にして表象したものと見る方が好《い》い。したがって「百姓」という言葉は、実景....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
。 一明君 世の中には人の言ったことばかりを覚えている者もあるし、その声の
主調低音だけしか記憶に残らないような種類の脳髄もある。 表現は畢竟《ひっきょう....