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乗合
「乗合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乗合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
うに、月だか太陽だか判然しない、妙に赤光《あかびかり》のする球《たま》があった。
乗合いの連中はどうした訳か、皆影の中に坐ったまま、一人も口を開くものがない。お蓮....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
、後段に、無花果《いちじゅく》云々の記事が見えるのに徴しても、明である。それから
乗合はほかにはなかったらしい。時刻は、丁度昼であった。――筆者は本文へはいる前に....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
はやはり小学時代に貝原益軒《かいばらえきけん》の逸事を学んだ。益軒は嘗《かつ》て
乗合船の中に一人の書生と一しょになった。書生は才力に誇っていたと見え、滔々《とう....
「少年」より 著者:芥川竜之介
ほりかわやすきち》は須田町《すだちょう》の角《かど》から新橋行《しんばしゆき》の
乗合自働車に乗った。彼の席だけはあったものの、自働車の中は不相変《あいかわらず》....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
等の豪傑は恒藤と違い、酒を飲んだりストオムをやったり、天馬の空を行くが如き、或は
乗合自動車の町を走るが如き、放縦なる生活を喜びしものなり。故に恒藤の生活は是等の....
「葱」より 著者:芥川竜之介
お君さんが、風に煽《あお》られた海のごとく、あるいはまた将《まさ》に走らんとする
乗合自動車のモオタアのごとく、轟く胸の中に描いているのは、実にこの来るべき不可思....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
、寐の足りないらしい人が人道を馳せ違っている。高架鉄道を汽車がはためいて過ぎる。
乗合馬車が通る。もう開けた店には客が這入る。 フレンチは車に乗った。締め切って....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
かつて地中海の瑠璃色の波に映った船のうちでは最も悼ましい船であった。他の客も大勢
乗合わせていたが、寂寞として墓のごとく、傲然とそり返っている船首を叩く波の音は絶....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
おめき集う群集は黒煙に似たのである。 技師は真俯向けに、革鞄の紫の袖に伏した。
乗合は喝采して、万歳の声が哄と起った。 汽車の進むがままに、私たちは窓から視た....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ら、人と、車の動揺の都度、なるべく操りのポンチたらざる態度を保って、しこうして、
乗合の、肩、頬、耳などの透間から、痘痕を散らして、目を配って、鬢、簪、庇、目つき....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
で鳥打を冠ったのが、胴の間に円くなって寝ている黒の紋着を揺り起す。 一行三人の
乗合で端に一人|仰向けになって舷に肱を懸けたのが調子低く、 佃々と急いで漕げば、....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
その頃の人気が思われます。しかし、何だかうら寂しい。 翌日は、巳の時ばかりに、
乗合六人、石動山のお札くばりの山伏が交って、二人船頭で、帆を立てました。石崎、和....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
「分りました、ごもっともです。」 「ですが、沿道は、全く人通りが少いのでして、
乗合といってもめったにはありません。からして、お客様には、事実、御利益になってお....
「取舵」より 著者:泉鏡花
思って、家を出たのが六月の、あれは十日……だったかな。 渡場に着くと、ちょうど
乗合が揃ッていたので、すぐに乗込んだ。船頭は未だ到なかッたが、所の壮者だの、娘だ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
らいなのは、まったく見た事はない、と田京あたりだったでしょう。温泉で、見知越で、
乗合わした男と――いや、その男も実は、はじめて見たなどと話していると、向う側に、....