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「九分通り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

九分通りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
た。 校門を出た石子刑事の足取は揚々としていた。見込をつけた通り発掘した屍体は九分通り小林貞の屍体に相違なかった。自殺か他殺か其点は未だはっきりしないが、屍体....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
二十五年間を経過した。当時本郷の富坂の上に住っていた一青年たる小生は、壱岐殿坂を九分通り登った左側の「いろは」という小さな汁粉屋の横町を曲ったダラダラ坂を登り切....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
泣かせるのである。そういう目的で作られたこの四幕物は、そういうものとしての目的を九分通りまでは達していると思われた。とにかく「嘆きの天使」を見ているときのように....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
百億人に一人ど偉い馬鹿みたいなのが出たとき、言いだすような事だ。ねえ、まず吾々は九分通り、死ぬだろう」 「脅かしちゃ、いかん」 「いや、すべては渡れてからのこと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
想のためには無い方がいいようなものだが、それでも万一の備えと工夫していたあれも、九分通りは出来上っているが、試射と、据附けとが残されている、もう一週間もしたら、....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
た。 九月も末になる頃にはおげんはずっと気分が好かった。おげんは自分で考えても九分通りまでは好い身体の具合を恢復したと思って、それを蜂谷にも話し、お新や婆やに....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
刻頃になりますと、嬉しや遥か彼方に当り微かに一つの島が見えまする。これぞ当時は八九分通り開けて居りますが、小笠原島でございます。文治は盲亀の浮木に有附きたる心地....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
の泣声がきこえた。 「ハハハ」阿Qは十分得意になった。 「ハハハ」酒屋の中の人も九分通り得意になって笑った。 こういう人があった。勝利者というものは、相手が虎....
狂人日記」より 著者:井上紅梅
を迫っているのだ。四五日このかた往来の男女の様子を見ても、アニキの行動を見ても八九分通りは悟られて来た。一番都合のいいのは、帯を解いて梁に掛け、自分で縊れて死ね....
麻畑の一夜」より 著者:岡本綺堂
新しく帰って来た。日本でこのごろ流行する麻つなぎの内職に用いる麻は内地産でない。九分通りはマニラ麻である。フィリピン群島に産する麻のたぐいはすべてマニラ麻の名を....
月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
まして明治十九年、僕がまだ十五六の少年時代は、山の手も場末のさびしい町で、人家の九分通りは江戸の遺物というありさまだから、昼でもなんだか薄暗いような、まして日が....
自作肖像漫談」より 著者:高村光太郎
なり、父の一周忌にその胸像を完成した。それから九代目団十郎の首を作りはじめたが、九分通り出来上るのと、智恵子の死とが一緒に来た。団十郎の首の粘土は乾いてひび割れ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
受けることは望ましくないことでありませんから、まだ脚の方のつなぎを切ったりしない九分通り出来ている矮鶏の作を次の日の集まりの席へ持って行きました。 私が人々の....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
人については考えたこともない。 賀川市長が、壇上から見ていると、小学校の先生の九分通りまでは、居眠りをしている。そして後の一分は外見している。居眠りしているの....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
聞いていたが、 「まだ犯人を伯爵だと断定するわけにはゆきませんよ。最初から私には九分通り判断はついていたんですが、あとの一分が分らないために苦しんでいるんです。....