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乱れ飛ぶ
「乱れ飛ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乱れ飛ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
に集めて、それに応じようとする途端、日に向かって目を閉じた時に綾《あや》をなして
乱れ飛ぶあの不思議な種々な色の光体、それに似たものが繚乱《りょうらん》として心を....
「競馬」より 著者:織田作之助
これならば絶対確実だと出馬表に赤|鉛筆《えんぴつ》で印をつけて来たものも、場内を
乱れ飛ぶニュースを耳にすると、途端に惑《まど》わされて印もつけて来なかったような....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
の圜《かん》をほのめかして回《めぐ》る。縦横に、前後に、上下《しょうか》四方に、
乱れ飛ぶ世界と世界が喰い違うとき秦越《しんえつ》の客ここに舟を同じゅうす。甲野《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と忌わしき使者の早打、しっきりなく走るは鴉で。黒き礫のごとく、灰色の天狗のごとく
乱れ飛ぶ、とこれに驚かされたようになって、大波を打つのは海よ。その、山の根を畝り....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
に投げ散らされるブールヴァル言葉が、足音のざわめきにタクトされつつ、しきりなしに
乱れ飛ぶ。扇屋、食料品店、毛皮店、組紐屋、化粧品屋、額縁店等々の店頭の灯が人通り....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
れば耳辺の寂しきを怪しむまで、身は全く血戦の熱に浮かされつ。されば、部下の砲員も
乱れ飛ぶ敵弾を物ともせず、装填し照準を定め牽索を張り発射しまた装填するまで、射的....
「五題」より 著者:山中貞雄
すが、アメリカ映画のシナリオの明朗さ、洒落気、と云いますか、あの奔放自在に与太が
乱れ飛ぶところは、勿論アメリカ人の国民性にも起因するでしょうが、あの数人が協同で....
「人造人間」より 著者:平林初之輔
る。心は、いつのまにか、無味乾燥な書物のページを辷《すべ》りぬけて、あらぬかたに
乱れ飛ぶのであった。 村木博士は一寸用事があるというので二日前から鎌倉へ行って....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
を保証しろ、というのである。言論の自由が封鎖されているもんだから色々な流言飛語が
乱れ飛ぶので、夫が社会不安の本質だというのである。この「社会学」はとに角として、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
さめるような色模様の衣裳をつけて居りました。それ等が大きな群を作って、大空狭しと
乱れ飛ぶところは、とても地上では見られぬ光景でございます。中でどれが一|番きれい....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
積玄心斎が鞘ごと抜いて横に払った一刀で、見事にわれ散った。白いお捻りが雪のように
乱れ飛ぶ。
丹波は悠々とやぐらを下りて、さっさと門内へ消えた。不知火銭は終わっ....
「悪夢」より 著者:豊島与志雄
らなかったが、ぱっと硝子の壊れる気配がして、次にはやや大きく、硝子の破片が四方に
乱れ飛ぶ、痛快な響とも光ともつかない擾乱が、静まり返ってる玻璃宮の中に起った。と....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
行きます! 僕は行かなければならない! 文麻呂、左手の方へ去ろうとする。 烈しく
乱れ飛ぶ竹の枯葉。不気味な風の音。蒼色に照らされていた翁の姿は次第に力なえるもの....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
温泉へ下る積りの私たちは、上の解らない岩壁を控えて、幾分の焦躁さえ感じた。やがて
乱れ飛ぶ霧に、せき立られるようにして立上ると、台地のすぐ上を登って行った。この壁....