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「乱酔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乱酔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
慣れた衣《きぬ》ざわりと、強烈な膚のにおいとが、葉子の病的に嵩《こう》じた感覚を乱酔さすほどに伝わって来た。 「どうだ、ちっとはいいか」 「おゝこの声だ、この声....
男女同権」より 著者:太宰治
聞けばよいのか、ほとんど了解不可能な性質を帯びていまして、やはりあれは女性特有の乱酔とでも思うより他に仕方が無いようでございます。 私の生れた家は、ご承知のお....
春の盗賊」より 著者:太宰治
喧嘩《けんか》の傷跡があり、蓬髪垢面《ほうはつこうめん》、ぼろぼろの洋服を着て、乱酔放吟して大道を濶歩《かっぽ》すれば、その男は英雄であり、the Almigh....
神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
金を一人して受け合う。さてその金の催促に来るごとに、役人を近村の料理屋へ連れ行き乱酔せしめ、日程尽き、役人|忙《あわ》て去ること毎度なり。そのうちに基本金多から....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
無心にもえた弟たち妹たちの愚行と次第につのるナポレオンの好戦慾、勝利そのものへの乱酔が、遂に悪行となって没落したと、二つに分けているのは尤もと思います。長くなっ....
南さんの恋人」より 著者:豊島与志雄
。だが、またこれでみると、昨夜のホテルの一件なんか、あとでよく分りはしたものの、乱酔のなかのこととて、実感としては何にも残っていなかったのかも知れない。然し、そ....
白木蓮」より 著者:豊島与志雄
敷にだけ、彼女はいるのだ。 その彼女は、いつも髪をきれいに結っている。どんなに乱酔してもその髪を乱さない。顔から肩にかけて、いつも白粉がぬられていて、決して素....
死と影」より 著者:坂口安吾
るを得なかった。 私は女の店の酒を平然と飲み倒した。あまたの友人をつれこんで、乱酔した。嵐であった。平和な家を土足で掻きまわしているような苦しさを、つとめて忘....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
て殻をすてた彼の生長にカンパイしたい喜びを感じたのである。 それにしても前夜の乱酔から升田の七転八倒に至るまで、賑やかなことこの上もない対局で、また盤側にはテ....
地上」より 著者:島田清次郎
愛読する作家の話をしはじめたのであった。それを尾沢達が喜ばない。のみならず、あの乱酔をはじめようとしている。たとえ両親を早く失って兄の手に育てられ、遠い北国の市....
泉鏡花先生のこと」より 著者:小村雪岱
をされるので、先生を何度踏みつけようとしたか知れませんでした。宮城前ではどんなに乱酔されていても、昔からこの礼を忘れられたことはなく、まことにその敬虔な御様子に....
随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
市中至るところ、薫風にひるがえっていたことも、いよいよ私にはいけなかった。日夜の乱酔へ、そういっても拍車をかけずにはおかなかった。しかもその時ハッと我が酔眼に映....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
小金井太郎は、今日の勝太郎君の兄弟子で、哀切果敢な江戸前の浪花節だったが、傷春乱酔、半生をまったく棒に振って夭折してしまったのである。彼については他日小説に書....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
を思出し、何とも知れぬ恐怖を感じて、首と手を振って早く行けと知らせた。いつになく乱酔した清岡が、人通《ひとどおり》のないこの裏通の角で突然君江の姿を見たら、何を....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
今の牛込会館横)の江戸源、その反対側の小路の赤びょうたんなどのおでん屋で時に痛飲乱酔の狂態を演じたりしたのも、最早古い記憶のページの奥に隠されてしまった。 私....