乳母車[語句情報] »
乳母車
「乳母車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乳母車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さいアルバム」より 著者:太宰治
写真をごらんなさい。これは最近の写真です。ジャンパーに、半ズボンという軽装です。
乳母車を押していますね。これは、私の小さい女の子を
乳母車に乗せて、ちかくの井《い....
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
と新しい若葉で、いいふうな緑色の容積を造っている。 遠くに赤いポストが見える。
乳母車なんとかと白くペンキで書いた屋根が見える。 日をうけて赤い切地を張った張....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
って来た。 火鉢の上へかざしたお襁褓の両端を持ちあいながら、豹一とお君は、 「
乳母車《おんば》を買わんならんな」 「そやな」 「まだ
乳母車は早いやろか」 そ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
が手軽に行かない。――但し大きな海軍帽を仰向けに被せた二歳ぐらいの男の児を載せた
乳母車を曳いて、その坂路を横押に押してニタニタと笑いながら歩行いていたから、親子....
「巴里の秋」より 著者:岡本かの子
の細った秋の公園の噴水が霧のように淡い水量を吐き出している傍を子守達は子を乗せた
乳母車を押しながら家路に帰って行く。....
「初孫」より 著者:国木田独歩
のうば車さえ考えものという始末なれど、祖父様には貞夫もはや重く抱かれかね候えば、
乳母車に乗せてそこらを押しまわしたきお望みに候間近々大憤発をもって一つ新調をいた....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ませんでした。婚約した愛人の死を目のあたり見ている少女も、死んだ子を悲しんで空の
乳母車をのぞき込んでいる母も、天界の楽園を追われてその門に立つイヴも、吝嗇な男が....
「『井伏鱒二選集』後記」より 著者:太宰治
していたら、世にめずらしい宝石を一つ一つ置き並べるような気持がした。 朽助は、
乳母車を押しながら、しばしば立ちどまって帯をしめなおす癖があり、山椒魚は、「俺に....
「盗難」より 著者:佐藤垢石
私の家庭を訪れたのである。だしぬけに母となった家内は人工哺乳に、洗濯に、縫物に、
乳母車を押して散歩に、朝から暮れるまで眼がまわる程の忙しさであった。みゑ子が手離....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
て、層々北から南へ間断なく移って行った。雲によって陽が翳るごとに路面に遊んでいる
乳母車、乳母、子供、犬が路面ごと灰色の渋晦を浴せられた。 来た以上、素通りもと....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
ての義務なのである。 まことに集中の手紙にある久保謙君の処女習作「朝」の中の「
乳母車にのせられた嬰児」が今はこごしく障害と汚染にみちた社会的現実に立向かい、闘....
「城」より 著者:カフカフランツ
の頭が現われるかと思うと、すぐ消えるのを見た。遠くのほうから、書類をのせた小さな
乳母車のようなのが、一人の従僕にひかれて、ゆっくりとやってきた。もう一人の従僕が....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
うにくるまって、火鉢でも抱えていれば、まず寒さ知らずという結構な交通具だ。それを
乳母車を押すように後から押して行く。綱をつけて前から引く。雪の多い、ことにそれが....
「春さきの古物店」より 著者:小川未明
ったかというのに、まず壁ぎわには、張り板が立てかけられてあり、その下のところに、
乳母車が置いてあり、その横に机があり、その他、火ばち・針箱・瓶というように、いろ....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
じ向う?の江副煙草店が無くなったのは惜しいことである。義昌堂は籐の細工物、ひいて
乳母車、子供用の自転車等を売るので有名だが、支那雑貨をいつの頃からかやりはじめて....