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乳白色
「乳白色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
乳白色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
見惚《みと》れるように葉子を見やった。天才が持つと称せられるあの青色をさえ帯びた
乳白色の皮膚、それがやや浅黒くなって、目の縁《ふち》に憂いの雲をかけたような薄紫....
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
イプラスの島の浦曲《うらわ》に漂着した。四肢は気品よく細長く、しっとりと重くて、
乳白色の皮膚のところどころ、すなわち耳朶《みみたぶ》、すなわち頬、すなわち掌の裡....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
岸さして「群来る」のだ。鰊に従って移動する鴎の群れがまずそれに先行する。空は連日
乳白色にかきくもり、海の水は雄鰊の排出する白子のために米磨ぎ汁を流しこんだように....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
き出させている。その光には、冷たい清冽な敬虔な気品があって、また、それに暈とした
乳白色の濁りがあるところは、奥底知れない神性の啓示でもあろうか。醜い死面の陰影は....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
代吉と話をしながら、梢の頭をふり仰ぐと、空は冴えた碧でもなく、曇った灰でもなく、
乳白色の雲が、銀光りをして、鱗のようにぬらぬらと並び合い、欝々と頭を押しつけて、....
「極楽」より 著者:菊池寛
めた。老の足の続くかぎり一散に歩き続けた。一歩は一歩ずつ、闇が薄れた。闇の中に、
乳白色の光が溢れるように遍照するのを感じた。初は不透明であった光が、だん/\透明....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たが、今宵に至って、降って湧いたように、この席に現われたものであります。
色の
乳白色な、小肥りといってよいくらいな肉附の、三十を越した年増ではありますが、キリ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
まって、お絹の横顔をながめると、緊張のない肌がぼちゃぼちゃとして、その中に濃厚な
乳白色のつやが流れている。これは、たまらない多情者だと神尾が思いました。 こう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
した石、それらの上に射《さ》している光線の諧調《かいちょう》を――細やかな日光と
乳白色の水蒸気とでできてる、その微妙な大気を味わった。その大気には、銀色の埃《ほ....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
しながら軽く目礼を交した。佐竹の顔は肌理も毛穴も全然ないてかてかに磨きあげられた
乳白色の能面の感じであった。瞳の焦点がさだかでなく、硝子製の眼玉のようで、鼻は象....
「不周山」より 著者:井上紅梅
彼女は吃驚したが、全身の毛孔中から何か飛び出したような気がした。地上にはたちまち
乳白色の雲煙が立ち罩め、彼女はようやく気を鎮めたが、その小さいものも、もう啼き已....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
て自然に右手でナイフを使っていた。が、それにも不拘、夫人の指間に盛上って来るあの
乳白色の果肉の上には、現場で発見したものと全く同じ様な左巻の皮が嘲ける様にとぐろ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
を見ると、前よりも薄暗いようであった。蝋燭の灯が、妙に黄ばんでいて、蔀屋の中が、
乳白色の、霧のようなもので、満たされているようであった。
(和子《わこ》は――)....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
動いて、目ざめた鳥があかつきの空をさして飛んだ。モヤモヤと川霧が立ちのぼって河が
乳白色にぼかされてゆく。かいの音はまだきこえない。 「遅いな」 とガーネットが....
「鮪の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
、埃などがまじっていよう。これを洗滌する意味で、ざるの中に入れた茶に水をさすと、
乳白色に水がよごれてこぼれてくる。これを捨て、ざるの中の粉茶に熱湯を注ぐ。 こ....