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「乾物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

乾物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老妓抄」より 著者:岡本かの子
》って青く澄み、大陸のような雲が少し雨気で色を濁しながらゆるゆる移って行く。隣の乾物《ほしもの》の陰に桐の花が咲いている。 柚木は過去にいろいろの家に仕事のた....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
で毎日のことで、醤油屋《しょうゆや》、油屋、八百屋《やおや》、鰯屋《いわしや》、乾物屋《かんぶつや》、炭屋、米屋、家主その他、いずれも厳しい催促《さいそく》だっ....
海異記」より 著者:泉鏡花
を抱いたり、頬摺したり、子守唄うとうたり、つづれさしたり、はりものしたり、松葉で乾物をあぶりもして、寂しく今日を送る習い。 浪の音には馴れた身も、鶏の音に驚き....
地球盗難」より 著者:海野十三
近くまでくると、なに思ったものか、云いあわしたようにピタリと足を停めて、秋刀魚が乾物になったような顔をした。 「どうしたかな?」 と大隅が思った途端、 「皆は....
食魔」より 著者:岡本かの子
横わり胸を喘ぐだけとなった。鼈四郎は、それが夜店の膃肭獣売りの看板である膃肭獣の乾物に似ているので、人間も変れば変るものだと思うだけとなった。病友は口から入れる....
河明り」より 著者:岡本かの子
った。中老人は快げに笑って、 「女の方は大概そう云いますね。だがあの中には日本の乾物のようなものも混っていて、オツなものもありますよ。慣れて来ると、そういう好み....
少年探偵長」より 著者:海野十三
いるのは、太い眉毛の下の大きな両眼だ。鼻の下には、うすい髭がはえている。かますの乾物のように、やせ細っている彼。そして背広の上に、まっ白の上っぱりを長々と着て、....
戦話」より 著者:岩野泡鳴
た。何れも、腹を出しとったんはあばらが白骨になっとる。腹を土につけとったんは黒い乾物見た様になっとる。中には倒れないで坐ったまま、白骨になっとったんもある。之を....
古狢」より 著者:泉鏡花
丈夫。いくら好きだって、蕃椒では飲めないよ。」 と言った。 市場を出た処の、乾物屋と思う軒に、真紅な蕃椒が夥多しい。……新開ながら老舗と見える。わかめ、あら....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
皮に潤湿を帯びていたのに、年数も経ったり、今は皺目がえみ割れて乾燥いで、さながら乾物にして保存されたと思うまで、色合、恰好、そのままの大革鞄を、下にも置かず、や....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
だったが、道修町では茶色の紐でした。ところが、それから二年のちにはもう私は、靱の乾物屋で青い紐の前掛をしていました。はや私の放浪癖が頭をもたげていたのでしょう。....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
園のはずれまで歩くと市街建築の取り付きである二階造りの石灰を塗った古ぼけて小さな乾物屋が在る。其の角を二人は右に切って静かに落ち付いたヴィクトリヤ女王朝前に建て....
註文帳」より 著者:泉鏡花
も一|走が可いぜ。とても独じゃ遣切れねえ、荷物は確に預ったい。」 「何か私も旨え乾物など見付けて提げて来よう、待っていさっせえ。」と作平はてくてく出かけて、 「....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
へ、肩擦れ、足の踏交る、狭い中を縫って歩行いた間に見たので、ちょうど立ったのは、乾物屋の軒下で、四辻をちょっと入った処だった。辻には――ふかし芋も売るから、その....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
ても高い価を払わなかったなら、古い錦絵は既くの昔し張抜物や、屏風や襖の下張乃至は乾物の袋にでもなって、今頃は一枚残らず失くなってしまったろう。少くも貧乏な好事家....