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争われない
「争われない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
争われないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
の本はいつの間《ま》にか手ずれの痕《あと》さえ煤《すす》けていた。のみならずまた
争われない過去の匂《におい》を放っていた。たね子は細い膝の上にそれ等の本を開いた....
「想片」より 著者:有島武郎
ていたにしても、その崩壊作用をある階級の自覚的な努力によって早めようとしたことは
争われない(一面に、それを大きく見て、かかる努力そのものがすでに崩壊作用の一現象....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
あさ黒い頬のあたりはやや寂しいが、鼻の高い、口もとのきっと引き締まった、さすがに
争われない肉縁の証拠を外記とよく似た男らしい顔にもっていた。質素な家風と見え、鼠....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
どうしてもわれわれよりは少ないように思われる。夫婦親子の関係も同じ理由で、そこに
争われない差別があるであろう。とくに夫婦の関係などは最も顕著な相違がありはすまい....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
というのも、この伯母の名のよみを取ったものだ。 しかし肉親というものはさすがに
争われない。猪伯父も一昌伯父も吃った。丹羽の老人も吃ったようだ。父も少し吃った。....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
面の操觚者を集めてプロフェッショナルとしても存在し得る便宜を与えたる功績は決して
争われないであろう。 凡そ何に由らず社会に存在して文明に寄与するの成績を挙げ得....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
のに饒舌っては悪いと云うから。……一番だまっておとなしい女郎花さんがよく釣った、
争われないものじゃないかね。 女郎花 いいえ、お魚とは違いますから、声を出しても....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ずむまで、静に落着いて見えたけれど、二ツ三ツ重った不意の出来事に、心の騒いだのは
争われない。……涼傘を置忘れたもの。…… 森を高く抜けると、三国|見霽しの一面....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
眼べとりと盲い、右が白眼で、ぐるりと飜った、しかも一面、念入の黒痘瘡だ。 が、
争われないのは、不具者の相格、肩つきばかりは、みじめらしくしょんぼりして、猪の熊....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
草に餓鬼大将をやってお在の時とは違って、品もよくおなりだし、丸顔も長くなってさ、
争われない、どう見ても若殿様だ。立派なもんだ。どうして、お前さんのその不思議な左....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
す。ただ人並みすぐれて情義深いことは、お両方に共通の美点で、矢張り御姉妹の血筋は
争われないように見受けられます……。 あれ、又しても話が側路へそれて先走って了....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
れるであろうか?)この事実の存する限り、如何に割引きを加えて見ても、菊池の力量は
争われない。菊池は Parnassus に住む神々ではないかも知れぬ。が、その力....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
がな儀ではありまするが、それを聞いた手前なども、またさようかに考えるので、どうも
争われないものですよ。」 「いや、一々|銷魂な事ばかりです。幸病気は良いのですけ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
と退学してしまった。 が、この頓挫が二葉亭の生涯の行程をこじらす基いとなったは
争われない。当時の商業学校の校長矢野次郎は二葉亭の才能を惜んで度々校長室に招いて....
「自来也の話」より 著者:岡本綺堂
あろうが、それに因ってこの作も、更に一層の人気を高め、女子供に愛読されたことも又
争われない事実であろう。その上演は嘉永五年、河原崎座の七月興行で、原作の初編から....