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二股
「二股〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
二股の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
かもしれないが……いゝえそんな事はない、そんな事のあろうはずはない。倉地はやはり
二股《ふたまた》かけて自分を愛しているのだ。男の心にはそんなみだらな未練があるは....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
その場を取りつくろう世辞をいって怒った風《ふう》も見せずに坂を下りて行った。道の
二股《ふたまた》になった所で左に行こうとすると、闇をすかしていた仁右衛門は吼《ほ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
、訪ねると、……その頃六十ばかりだった織次の祖母《おばあ》さんが、 「あれはの、
二股坂《ふたまたざか》の庄屋《しょうや》殿じゃ。」といった。 この
二股坂と言う....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
をもっていた。しかし、松風草の葉ようなものは、ちょうど心臓を逆さにして、またその
二股になった所が、指みたいな形で左右に分れている。ところが、それを見ると、時江は....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
央に鳥形の赤裸なるを御覧あるべく、これが埴輪の鳥形に候なり、これには脚なくして、
二股の尾あるを見給うべきも、この図は、雪なきときの切崖の露出にて、雪少しにても降....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
。彼が作る菜は多く苦い。彼が水瓜は九月彼岸前にならなければ食われない。彼が大根は
二股三股はまだしも、正月の注連飾の様に螺旋状にひねくれ絡み合うたのや、章魚の様な....
「人形の話」より 著者:折口信夫
また新しく作るので、古い家になると二体も三体も祀っていることがある。 桑の木の
二股の枝をとってこしらえる。だから先のほうを頭にして、頭だけの人形である。この「....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
ていた皆の不平は、医師が小屋を出てしまうとすぐに爆発した。シルヴァーは、敵味方に
二股をかけているとか――自分だけで別に和解をしようとしているとか――仲間の者たち....
「ひと吾を公式主義者と呼ぶ」より 著者:戸坂潤
二つに分れる。どっちへ行こうと知性に変りはないらしい。だから私は知性というような
二股かけた日本語は信用しないのである。 (一九三七・七)....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
いいよ。しかし、こいつぁあちょっとおもしろい問題だ。ねえアリョーシャ、君はいつも
二股膏薬《ふたまたごうやく》だけれど、とにかく本当のことを言うから、聞いてみるん....
「お魚女史」より 著者:坂口安吾
ものである。 「凹井先生は知ってるだろう。ホラネ。ダアク・キャットのピッチャーの
二股長半ねーエ。あの子がねーエ」 「おだまり、チンピラ!」 叫んだところで、ム....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
草切りを突き立てていたんだがね。それが、胸から咽喉の辺にかけて、血潮の流れが恰度
二股大根のような形になっているので、ただ遠くから見ただけでは、何だか首と胴体とが....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
しも、苦しんだ。あの山の夜――大殿のために一手柄を立て、かねて、契りもしようと、
二股をかけたが――いつかは、知れること、と思うと、打明けようか、明けまいか。もし....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
かくも足軽大将をうけたまわるほどの身分になった。こういう経歴の人間であるだけに、
二股侍というではないが、自分の主人以外、羽振りのよい諸大名にこすり付いて何かの利....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
以前は糧食を携えて五日|乃至一週間と狩り暮したことがあるという。内蔵助谷が南北の
二股に岐れた其間に抱かれている稍や広い窪地は、如何にも笹がひどいということである....