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「二軒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

二軒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
手紙」より 著者:芥川竜之介
歩したり話したりするほかはありません。何しろここには温泉宿のほかに(それもたった二軒だけです。)カッフェ一つないのです。僕はこう云う寂しさを少しも不足には思って....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、地の濡れた、軒に艶ある、その横町の中程へ行くと、一条朧な露路がある。 芸妓家二軒の廂合で、透かすと、奥に薄墨で描いたような、竹垣が見えて、涼しい若葉の梅が一....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
討ちだ――今宵の蕎麦は望むところだ。――旅のあわれを味わおうと、硝子張りの旅館一二軒を、わざと避けて、軒に山駕籠と干菜を釣るし、土間の竈で、割木の火を焚く、侘し....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
ない省作は、まだおとよさんの微妙なそぶりに気づくほど経験はない。 元来はこの秋二軒が稲刈りをお互いにしたというも既におとよさんの省作いとしからわいた画策なのだ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
か屋の新妓とか云うのが、からんころんと通るのを、何心なく見送ると、あの、一軒おき二軒おきの、軒行燈では浅葱になり、月影では青くなって、薄い紫の座敷着で、褄を蹴出....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
通り全然なし。 片側は、右のその物置に、ただ戸障子を繋合わせた小家続き。で、一二軒、八百屋、駄菓子屋の店は見えたが、鴉も居らなければ犬も居らぬ。縄暖簾も居酒屋....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
く立ちながら、鳴く音はもとより、ともすると、驚いて飛ぶ鳥の羽音が聞こえた。 一二軒、また二三軒。山吹、さつきが、淡い紅に、薄い黄に、その背戸、垣根に咲くのが、....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
、追ってもにげるような優しいんじゃない。 隣の小猫はまた小猫で、それ井戸は隣と二軒で使うもんだから、あすこの隔から入って来ちゃあ、畳でも、板の間でも、ニャアニ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
一座が掛りたる仮小屋は、前に金魚養いし女房の住みたる家のあとを、その隣、西の方、二軒ばかり空地となりしに建てられつ。小さき池は、舞台の真下になりたれば、あたかも....
黒百合」より 著者:泉鏡花
を跟けるわい。ここぞという極めが着いた処で、印を付けておくんじゃ。私も初手の内は二軒三軒と心覚えにしておいたが、蛇の道は蛇じゃ、段々その術に長ずるに従うて、蔓を....
星女郎」より 著者:泉鏡花
と頷かれて、見るからに佗しい戸の、その蜘蛛の巣は、山姥の髪のみだれなり。 一軒二軒……三軒目の、同じような茗荷の垣の前を通ると、小家は引込んで、前が背戸の、早....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
の落葉が、屋根越に―― 日蔭の冷い細流を、軒に流して、ちょうどこの辻の向角に、二軒並んで、赤毛氈に、よごれ蒲団を継はぎしたような射的店がある。達磨落し、バット....
雪の女王」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ました。そのこどもたちの両親は、おむこうどうしで、その住んでいる屋根うらべやは、二軒の家の屋根と屋根とがくっついた所に、むかいあっていました。そのしきりの所には....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
が出会した旅宿万年屋でござる。女中か、せいぜいで――いまはあるか、どうか知らぬ、二軒茶屋で豆府を切る姉さんぐらいにしか聞えない。嫋音、嬌声、真ならず。境辻三……....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
で、二十日に近い路地の月夜、どうしたろう、ここの戸は閉っておらず、右に三軒、左に二軒、両側の長屋はもう夜中で、明い屋根あり、暗い軒あり、影は溝板の処々、その家も....