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二途
「二途〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
二途の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
二 今日《こんにち》の処は、長谷川町の番人喜助の続きとお話が
二途《ふたみち》に分れますが、後《のち》に一つ道に成る其の前文でありますからお聴....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
まま低《た》れて、見るべき物もあらぬ橋の上に瞳《ひとみ》を凝らしつつ、その胸中は
二途の分別を追うに忙しかりき。 「これからとはあんまり早急じゃありませんか。まだ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
御兄弟の間柄である。もしこれが一層王室と将軍家とを結びつけるなかだちとなり、政令
二途に出るような危機を防ぎ止め、動揺する諸藩の人心をしずめることに役立つなら、上....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
のこした烈公の血はこの人の内にも流れていた。朝廷と幕府とが相対立しすべての方針が
二途に分かれるような現状を破って、天皇の大御代を出現しないかぎり、海外諸国の圧迫....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
を外に求めて内に蠢動する。いうまでもなく芸術と哲学とはこの内部生命の表現的努力の
二途である。ただ前者が具体的に部分的に写出する内部経験を後者は概念の様式をもって....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
屋の内|静に、淋し気に立つ彫像|計り。さりとては忌々し、一心乱れてあれかこれかの
二途に別れ、お辰が声を耳に聞しか、吉兵衛の意見ひし/\と中りて残念や、妄想の影法....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
出すか……それとも、友を見棄てておのれの安穏《あんのん》を全うすべきか?
この
二途に迷いながら、ひとつにはただぼんやりと、いま庭前に繰りひろげられてゆく剣豪決....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。私は小説のことがこの頃又すこし分り、評論のことも又すこし分って来て、制作として
二途を追いにくいことが明瞭となりました。或る成長の後二つは却って兼ねにくいものの....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
一緒に死んでくれるか、それとも、名もない雑役夫のために、海に叩き込まれるか。その
二途よりないのだが……」 少し考えていた僕は、 「あんな雑役夫に殺されるよりか....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
は一生を不満のうちに終るか、または妻というものに対するあらゆる要求を捨て去るか、
二途の外はないのである。……秀子と別れる! 私はその考えを押し進めることが出来な....
「映画と民族性」より 著者:伊丹万作
て行けばなおこのほかにもいくばくかの意見があるであろうが、方針の根幹はおよそ右の
二途に尽きるようである。 順によつてまず最初に外地向き映画特製論を検討してみる....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
―ここをよく聞いてくれ。父、斉興がおわす。今、お前の申した如く、政道筋が、或いは
二途に出ているように、世間は感じておるかもしれぬ。確かに、幕府などは、父を差置い....
「恐怖の季節」より 著者:三好十郎
トやソットではキリがつかない。残るところは、こいつをウのみにするか、敬遠するかの
二途しかないと思わざるを得ない位にめんどうな事になります。それに、この人たちの持....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
は当時に於ける参謀総長に当る者より直接侍従武官を経て上奏していたのであるが、軍務
二途に出づる弊害を除去するため陸軍大臣が総ての軍事を統一する事となっていた。大モ....
「八ヶ峰の断裂 」より 著者:木暮理太郎
か、如是閑氏の所謂「労力の少ない危険」に就くか、又は「労力の多い安全」を択ぶかの
二途より外に通過の方法はない。但し後者の場合でも、直接岩壁の縁に沿うて何処までも....