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「五感〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

五感の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仙人」より 著者:芥川竜之介
そうして、片手で李をさしまねきながら、片手で、床の上の紙銭をかき集めた。 李は五感を失った人のように、茫然として、廟の中へ這いこんだ。両手を鼠の糞と埃《ほこり....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
蔦である事を知ったように。 火星 火星の住民の有無を問うことは我我の五感に感ずることの出来る住民の有無を問うことである。しかし生命は必ずしも我我の五....
階段」より 著者:海野十三
たままピタリと階段の上に停ってしまったものだから僕は呼吸のつまるほど驚いた。僕の五感は針のように鋭敏になって一瞬のうちにありとあらゆるところを吸取紙のように吸い....
食魔」より 著者:岡本かの子
なかった。征服慾も、もちろんない。 あの大きな童女のような女をして眼を瞠らせ、五感から享け入れる人の世の満足以上のものを彼女をして無邪気に味い得しめたなら料理....
物理学と感覚」より 著者:寺田寅彦
人間がその周囲の自然界の事物に対する知識経験の基になる材料は、いずれも直接間接に吾人の五感を通じて供給されるものである。生まれつき盲目で視神経の能力を欠いた人間には色....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
。呼吸をすると、あの燃える山も、五色の空も、呼吸する。空間を越え、時を越え、狭い五感の世を越えて、今は、宇宙の源さしてとけこんで行く。スキーの足も自ら遅く、ヴン....
四次元漂流」より 著者:海野十三
るより外なかった。 五分、十分。……何事も起らない。部屋は完全なる暗黒である。五感に感ずるものは、ほのかなる香料の匂いと、そして大きくひびく道夫自身の心臓の音....
桃のある風景」より 著者:岡本かの子
母が娘時代に罹った気鬱症には、これ等が利いたのであろう。 色、聞、香、味、触の五感覚の中で、母は意識しないが、特に嗅覚を中心に味覚と触覚に彼女の気鬱症は喘きを....
物質とエネルギー」より 著者:寺田寅彦
物には必ず物理がある。ここにいわゆる物とは何ぞや、直接間接に人間五感の対象となって万人その存在を認めあるいは認め得べきものを指す。故に幽霊はここ....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
お話しよう。 私たちを案内してくれた警官は天才的なほどカンの鋭い人だった。彼の五感はとぎすまされているようだ。私がまだ何の予感もないのに、彼がにわかにクラヤミ....
鸚鵡のイズム」より 著者:寺田寅彦
れから帰納された「方則」というものの成立や意義などについて色々考えた結果、人間の五感のそれぞれの役目について少し深く調べてみたくなった。そのためには五感のうちの....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
の車があったのだ――それに今まで彼は気づかなかったまでのことである。 すると、五感が異常にするどくなって、まもなく儀右衛門は、画中から驚くべき特徴をつかみ出し....
変身」より 著者:カフカフランツ
ゴールは身体を前へひきずっていこうとしたが、まるで釘づけにされたように感じられ、五感が完全に混乱してのびてしまった。だんだんかすんでいく最後の視線で、自分の部屋....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
それでは満足しなかった。掌に載せた真桑瓜のその色を見、その重さを感ずるようにわが五感の感覚や意識で明白に解脱の正体を見きわめなければ安心出来なかった。この肉体さ....
かき」より 著者:神西清
ぼくの目には、飲食店のランプや街灯の光が、目もくらむばかりの稲妻とうつる。ぼくの五感はいつもの五倍も十倍も働きだす。そして、それまで見えなかったものが見え始める....