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「亜鉛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

亜鉛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
》い声が起る。中には「莫迦《ばか》」と云う声も聞える。 橋の上から見ると、川は亜鉛板《とたんいた》のように、白く日を反射して、時々、通りすぎる川蒸汽がその上に....
水の三日」より 著者:芥川竜之介
低い白楊が、あざやかな短い影を落して、真昼の日が赤々とした鼠色の校舎の羽目には、亜鉛板やほうきがよせかけてあるのが見えた。おおかた明日から、あとそうじが始まるの....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
行ったり、たちまち豪奢《ごうしゃ》を極《きわ》め出しました。「青ペン」と言うのは亜鉛《とたん》屋根に青ペンキを塗った達磨茶屋《だるまぢゃや》です。当時は今ほど東....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
った。彼は焼パンを齧りながら、時々ぼんやり窓の外を眺めた。窓の外には往来の向うに亜鉛屋根《トタンやね》の古着屋が一軒、職工用の青服だのカアキ色のマントだのをぶら....
悠々荘」より 著者:芥川竜之介
僕等は芒の穂を出した中を「悠々荘」の後ろへ廻って見た。そこにはもう赤錆のふいた亜鉛葺の納屋が一棟あった。納屋の中にはストオヴが一つ、西洋風の机が一つ、それから....
追憶」より 著者:芥川竜之介
ことだった。僕はある日の暮れがた、ある小学校の先輩と元町通りを眺めていた。すると亜鉛の海鼠板を積んだ荷車が何台も通って行った。 「あれはどこへ行く?」 僕の先....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
た。満目唯惨憺として猛火の暴虐を語っていた。 焼けた材木を伝い、焼落ちた屋根の亜鉛板を踏んで、美術書の陳んでいた辺へ行くと、一列のフォリオ形の美術書が奇麗に頭....
東京要塞」より 著者:海野十三
ゃあ、どこか地下室なんだろうと友達がいうと、そうじゃない。高い天井を見上げると、亜鉛板で屋根がふいてあるのが見えるから、地下室ではなくて、これはやはり地上に建っ....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ようで、家々の棟は、瓦の牙を噛み、歯を重ねた、その上に二処、三処、赤煉瓦の軒と、亜鉛屋根の引剥が、高い空に、赫と赤い歯茎を剥いた、人を啖う鬼の口に髣髴する。……....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
手で結びながら答えたのは先刻の老人。一方|青煉瓦の、それは女学校。片側波を打った亜鉛塀に、ボヘミヤ人の数珠のごとく、烏瓜を引掛けた、件の繻子張を凭せながら、畳ん....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、一方は、角ぐむ蘆、茅の芽の漂う水田であった。 道を挟んで、牡丹と相向う処に、亜鉛と柿の継はぎなのが、ともに腐れ、屋根が落ち、柱の倒れた、以前掛茶屋か、中食で....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
らしい。それで、後光の全貌が判ったのだよ。つまり、最初の夜は、臭化ラジウムと硫化亜鉛とで作った発光塗料を、予め黒い布帽子に円く点在させておいて、それを像の後頭部....
街の探偵」より 著者:海野十三
』 『え、瓦斯を発生するって、一体なんの瓦斯だい』 『多分キップの装置だろうね。亜鉛を硝子瓶に入れて置いて、その上に稀硫酸を入れるのさ。うまいこと水素瓦斯が出て....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
。すべてが表面的である。美はすべての部分からなくなってしまっている。煙筒、鉄橋、亜鉛張りの屋根、瓦の砂漠、――そして疲れた職工――その肉欲を充たすための娼妓と売....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
にすっかり昔に変っていた。 今日の回向院はバラックである。如何に金の紋を打った亜鉛葺きの屋根は反っていても、ガラス戸を立てた本堂はバラックという外は仕かたはな....