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「亡き人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

亡き人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
ではないかと、いつも怖ろしい予覚におびやかされていた。 きょうは盆の十三日で、亡き人の魂《たま》がこの世に迷って来るという日である。亡き魂と死と、こんなことを....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
に術《すべ》はない。 妻もただ泣いたばかりで飽き足らなくなったか、部屋に帰って亡き人の姉々らと過ぎし記憶をたどって、悔しき当時の顛末《てんまつ》を語り合ってる....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
りに腕をふるっていた。 盲の人は気もつかなかったろう、しかし その手の中におれは亡き人の土を見た。 (70) 壺つくりよ、心あるならその手を休めよ、 尊い土....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
やらず、頤を襟に埋みて悄然たる、お通の俤窶れたり。 やがて桐火桶の前に坐して、亡き人の蒲団を避けつつ、その傍に崩折れぬ。 「謙さん。」 とまた低声に呼びて、....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
に懸けたる提灯に礫を投じて口々に罵りぬ。母上の名、仮名もてその神燈に記されたり。亡き人に礫打たしては、仏を辱かしめむとて、当時わが家をば預りたまえる、伯母の君|....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
子鳥が大和京へ来る」ということになる。「大和には啼きてか来らむ霍公鳥汝が啼く毎に亡き人おもほゆ」(巻十・一九五六)という歌の、「啼きてか来らむ」も、大和の方へ行....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
来たことを思わせました。 わたしは寝台の上に眼をあげる勇気もなく、ひざまずいて亡き人の冥福を熱心に祈り始めました。神が彼女の霊と私とのあいだに墳墓を置いて、こ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
した。一般会葬者のあいだからも低い呟き声が起こって来た。背丈の高い、痩せた男で、亡き人の親戚であるという侍従職がそばに立っている英国人の耳もとで「あの青年士官は....
乳を刺す」より 著者:邦枝完二
星|灯ろう 陰暦七月、盛りの夏が過ぎた江戸の町に、初秋の風と共に盂蘭盆が訪れると、人々の胸には言い合わせたように、亡き人懐かしいほのかな思いと共に、三界万霊などという言葉が浮いてくる。 今宵は....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
は少しく驚かされた。 「おお、いつの間にか播磨路まで……して、采女は……。」 「亡き人を伴うては道中の難儀、かしこに埋めてまいりました。」 「かしことは……。」....
血友病」より 著者:小酒井不木
れば、又、姉も妹もありませんでした。二人の兄が死んで、(もうその頃には父もすでに亡き人でしたが)私が一人娘として残ったとき、母は何とかして、私を、その恐ろしい病....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
過世の深い縁であろう、浅緑の薫のなお失せやらぬ橘之助の浴衣を身につけて、跣足で、亡き人のあとを追った。 菊枝は屏風の中から、ぬれ浴衣を見てうっとりしている。 ....
正月の思い出」より 著者:岡本綺堂
た大空の下に、この新年の絵巻が展げられている。その混雑の間を潜りぬけて、私たちは亡き人の柩を送って行くのである。世間の春にくらべて、私たちの春はあまりに寂しかっ....
叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
花屋にて白菊一枝を買い来りて仏前にささぐ。まことの花にては、その散り際にまたもや亡き人の死を思い出ずるを恐れてなり。 散るを忌みて造花の菊を供へけり 大阪の大....
消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
私の耳の底に残っていつまでも忘れられませんでした。彼の話によると霊媒者を介して、亡き人と語ることも出来る。霊眼が開けば目のあたりに亡き人の姿さえ見ることも出来る....