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亡失
「亡失〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
亡失の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
励行し、その跡を大急ぎに滅尽し、古蹟、古文書、什宝、ややもすれば精査を経ずに散佚
亡失するようでは、わが邦が古いというばかりで古い証拠なくなるなり。現に和歌山県の....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
顫わした。 自分の思いがけぬ罪に対する恐怖に噛み苛《さいな》まれながら、彼女は
亡失状態の中で微《かす》かにひくひくと蠢《うごめ》いている蔦代の致死期の胴体を見....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
場合、私の個性の生長と自由とが失われていると考えるのは間違っている。それは個性の
亡失ではない。肉体の破滅を伴うまで生長し自由になった個性の拡充を指しているのだ。....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
を撃ちこんでしまった、これは仮定ですよ。もしもこういう場合に、あなたのような記憶
亡失の障害が起って、脳が健康を取戻しても、尚且つ記憶が恢復しない。そういうときに....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
三個を得て、それを我に渡しなば、妻をやらむとこたえしに、蛇はこれを諾いて鷲と戦い
亡失せしということの候なり。されど今|憖に鷲の首などと謂う時は、かの恐しき魔法使....
「エスキス」より 著者:豊島与志雄
活量一杯に、妖精の叫びを挙げるのです……。」 おう、大地に対するノスタルジーを
亡失したる児等よ、彼等のうちのせめて幾人か、将来、その叫声の意味を理解せんことを!....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
した。強者にあっては、苦悶《くもん》も、憐憫《れんびん》も、絶望も、回復できない
亡失の痛切な負傷《いたで》も、死のあらゆる苦痛も、猛烈な拍車で彼らの脇腹《わきば....
「マルクス主義と唯物論」より 著者:三木清
人間的頂点において総括されているが故に、人間はプロレタリアートにおいて自己自身を
亡失しており、しかしながら同時にこの
亡失の理論的意識を獲たのみならず、またもはや....
「孔子」より 著者:和辻哲郎
を対比させ、その差の九篇を何の理由もなく斉魯河間九篇と同視したに過ぎない。九篇は
亡失したかも知れぬが、それは秦の弾圧に対してさえ生き残った斉魯河間九篇ではなかっ....
「失うた帳面を記憶力で書き復した人」より 著者:南方熊楠
で飲みがてら、側らにあった懸け帳を披閲したが、はるか後にかの酒屋類焼して懸け帳を
亡失し、かの僧に語ると、僧しばし小首を傾け、やがて筆取って、おのれが見たほどの酒....