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亡骸
「亡骸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
亡骸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
のころにはようやく白《しら》み始めて、蝋燭《ろうそく》の黄色い焔《ほのお》が光の
亡骸《なきがら》のように、ゆるぎもせずにともっていた。夜の間《あいだ》静まってい....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
人間性讃美の音楽浴のメロディーに聞きほれている。 人間性讃美の曲。それは冷たき
亡骸になったミルキ国人のために奏せられるのであろうか。それとも博士によって創造さ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
はまだ明けない。雷電峠と反対の湾の一角から長く突き出た造りぞこねの防波堤は大蛇の
亡骸のようなまっ黒い姿を遠く海の面に横たえて、夜目にも白く見える波濤の牙が、小休....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
から萎れて行く。そんな人が彼女を捕え得たと思った時には、必ず美しい死を遂げたその
亡骸を抱くのみだ。粘土から創り上げられた人間が、どうしてかかる気高い娘を生み得た....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
岸で見出された。彼の恩を忘れぬ人間たちは、霜の花で飾られたこの小船にハイムダルの
亡骸を収め、それに様々な高貴な鉄工品や金銀細工を満載した。小船は、始めに来たとき....
「春昼」より 著者:泉鏡花
入って亡くなりました。」 「溺れたんですか、」 「と……まあ見えるでございます、
亡骸が岩に打揚げられてござったので、怪我か、それとも覚悟の上か、そこは先ず、お聞....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
田鶴子は激しく嗚咽する。 帆村はいつの間にかピストルをポケットに収って、旧友の
亡骸に向って合掌していた。 こうして七人の青年の血を啜った吸血鬼古神行基は、本....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
った。 福士大尉は、情報報告のため、直ちにこのクリムスビーを発足すべく、アンの
亡骸をそっと下に置いて、立ち上った。....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
寝台の上で、思い悩んだ。会いたい、見たい。いやとびつきたい程の思であるが、上官の
亡骸に、生きて相見えることは部下として忍びないものがあった。 「おい、杉田、お前....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
くる花の夕暮、ミチミは杜に手を取られて、静かに呼吸をひきとった。 杜はミチミの
亡骸をただひとりで清めた、それから白いかたびらを着せてみたが、いかにも寒々として....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
よくは目に留まらなかった。 が、思い当る……葬式の出たあとでも、お稲はその身の
亡骸の、白い柩で行く状を、あの、門に一人立って、さも恍惚と見送っているらしかった....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、急ぐにゃ当らねえ。別して先方は足弱だ。はてな、ここらに色鳥の小鳥の空蝉、鴛鴦の
亡骸と言うのが有ったっけと、酒の勢、雪なんざ苦にならねえが、赤い鼻尖を、頬被から....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
来て留りました。その青い火は、しかし私の魂がもう藻脱けて、虚空へ飛んで、倒に下の
亡骸を覗いたのかも知れません。 が、その影が映すと、半ば埋れた私の身体は、ぱっ....
「墓」より 著者:秋田滋
は、いわば胸を抉られでもするような、肉体的な苦しみでありました。 やがて彼女の
亡骸が墓穴に移され、その棺のうえに土がかけられてしまうと、わたくしの精神は、突如....
「仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
まった。 喜助少年は、今や前後を忘却して、大声をあげて、泣き喚きながら、老人の
亡骸に縋りついた。 「おじいさん。おじいさァん。どうして死んだんです。しっかりし....